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社説 波紋

12月8日は「針供養」の日

 本号発行の翌日にあたる12月8日は「針供養」の日である。現在の家庭では縫い針を使う場面を見ることは少なくなったように思えるが、同日は日本年中行事の事八日(ことようか)に設定されており、針仕事を休んで慎みをもって過ごすものとも言われる。

 折たり、曲がってしまったために使えなくなった縫い針を成仏させ、裁縫の上達祈願に古くからおこなわれてきた行事とされる。かたい生地に幾度となく糸を通す役割を果たし、その労い、感謝の気持ちから最後を終えて欲しいとの想いで、地域によって異なるのだが豆腐・コンニャクなどの柔らかいものに刺して供養がおこなわれている。

 たまたま手元が狂って指を刺してしまった、あの小さな穴に糸がなかなか通らない、鋭利な先端が怖いなどの理由で苦手意識を持つ人もいるのでは。滅多に使うことも、見ることもなく前記の心配は無用かもしれないが、ただ、取り巻く環境は針の筵(むしろ)なのかもしれない。

[2019年12月7日付け本紙2492号掲載分]


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