社説 波紋
土難民(どなんみん)
人間が生きていくためには、空気、水、食物、環境等と様々な要素がバランス良く混じり融合することが必要である。その中で、土も重要な役割を占め、一人あたり0・05ヘクタール以上の充分な耕地が不可決とされている。
浸食・塩害・汚染による劣化や十分な量の確保ができなくなると、健康的で栄養を蓄えた野菜等の食物と共に、その他の自然の恵みを得られず、土への依存度が高い人間にとって大きな影響を与えるとも。
耕地の減少は“土難民”(どなんみん)を生み、この現象が進んでいった先の末路には政治の不安定化を招くものと言われ、過去に栄えたインダス・メソポタミア・マヤなどの文明が滅んだ原因との一説もある。
余暇や食育の目的から数年待ちのケースもみられて都市農園が人気を集めており、行政主導で廃校舎の屋上部を利用した多彩な園芸に取り組む例も。2018年空き家総住宅八四六万戸を数え、都市部も増加傾向を辿っているとし、将来的な活用に開発・開墾の組み合わせも良いのでは。
[2019年5月27日付け本紙2473号掲載分]
バックナンバー
- 土難民(どなんみん) 2019.06.07 金曜日