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社説 波紋

ニーズがあるから

 ヒュ~ドッカーンと、夏の夜空を彩る花火大会。猛暑の到来と同時に各地で開催され、広大な空に浮かび上がった色とりどりの華は、見上げる人々を魅了してそれぞれに感動を与えたのではないか。

 この打ち上げの時に聞こえてくる「ヒュ~」の音であるが、花火玉が上昇していく際の空気との摩擦音ではないようだ。これから花火が大空で開くことの知らせ、どんな華が咲くのかの期待感などと、見物者の興味を引き出すために、花火に笛を付けて人工的に発生させているらしい。

 見物の仕方も様々で、土手に敷いた敷物上で汗ばみながら缶ビールを片手にと思いきや、今じゃ有料席の中には花火が見やすいだけでは物足りず、専用の売店、トイレ、さらにはシャワー室までも完備とか。

 個人でする花火にも変化が。ちょっとした公園では禁止、もちろん駐車場もダメ。ベランダも近隣との住宅事情から難しいなかで、煙の出るのが少ない手持ちタイプが販売されている。

 ニーズがあるから、製品・サービスが提供される。しかし、風情や情緒が感じられなくなるのは寂しいものだ。線香花火はじっくり楽しませてくれることでロングセラーになっており、一般規格ねじ製品の見た目は同じだが使ってみたら違いがあると、この価値を認めるのは誰であろうか…。

[2014年8月17日付け本紙2301号掲載分


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