社説 波紋
来期はマイナス幅は縮小へ
中小企業庁の調べによると、2011年4月~6月期の中小企業の業況は、東日本大震災の影響により全地域で急激に悪化して、その状況について同庁では1、地域別に業況判断DIをみると、東日本地域が大幅に悪化したことに加え、他の地域にも間接的に影響が及び、すべての地域でマイナス幅が拡大した。2、製造業、非製造業ともに業況判断DIは大幅に拡大している。これらを含め今回の調査結果のポイントについて次のとおりまとめている。
1、2011年4~6月期の全産業の業況判断DIは前期のマイナス二六・三から同三四・八へとマイナス八・五ポイント悪化となり、9期ぶりにマイナス幅が大幅に拡大となった。
2、製造業の業況判断DIは前期のマイナス一六・一から今期同二八・八と同一二・七ポイント悪化となりマイナス幅が拡大した。業種別にみると、サプライチェーンの寸断などから大幅に悪化した輸送機械器具をはじめ、大企業の操業停止の影響や工場の被災から電気・情報通信機械器具及び電子部品、その他紙・紙加工品が悪化した。また、木材・木製品、家具・装備品などの地場産業も悪化し、13業種でマイナス幅が拡大した。
3、非製造業の業況判断DIは、前期のマイナス二九・八から同三六・五へ同六・七ポイント悪化が進みマイナス幅が大幅に拡大を示した。製造業の操業停止の影響に加えてインフラが被災したことなどから、物流が停滞し卸売業、対事業所サービス業(運輸・倉庫)が悪化。個人向けも内外からの観光の自粛を受けて宿泊業が悪化したのをはじめ消費者マインドの冷え込みから小売業、飲食業、対個人サービス業でマイナス幅が拡大した。
4、全産業の資金繰りDIは前期のマイナス二二・〇から同二六・八へと四・八ポイントマイナス化となり、うち長期資金借入難易度DIは前期比で一・四ポイント悪化、短期借入難易度も同二・〇ポイント悪化となり、資金繰りDIはともに9期ぶりにマイナス幅が拡大した。
以上から今期のDI悪化はリーマンショック後の改善パターンと類似しており、来期の実績値はマイナス幅が縮小するものと思われる。
[2011年7月17日付け本紙2190号掲載分]
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