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社説 波紋

「合従連衡(がっしょうれんこう)」というウンチクに富んだ・・・

 先日テレビで中国の「三国志」題材の映画を見て、日本ねじ研究協会誌の2010年No8号で『はままつ・デジタル・マイスター』の活動について紹介した寄稿文(静岡大学の久保田義弘氏ら三氏の連名)を思い出した。文中で「自動車業界の合従連衡が着々と進む中、国内のねじ製造業が生き残るためには中国企業との連携など大胆な政策が必要になるかも…」と記していた。

 今のねじ産業のグローバル展開に目を向けて、「合従連衡(がっしょうれんこう)」というウンチクに富んだ表現で業界の在り方、研究サイドの重要な役割、使命などに触れている本題は別として、この「合従連衡」、読めそうで読めない。辞書を引くと「中国の戦国時代に六ヵ国が連合して強国の秦に対抗した攻守同盟の政策で、このことを踏まえて熟語の―連衡とは、権力などをめぐる各派勢力の連合の種種相(いろいろの姿)にもたとえられる」ということだ。

 世界の工業社会の中で発展を始める中国は、世界の主要国を視野に合従連衡の如き策を突き進めて世界の強国にならんと意気込んでいて、イヤな言い方だが「立場は逆転し翻弄される側は日本も米国も同じようだ」となった。ねじの世界のことでも、強国ニッポンに対抗して半世紀も前に廃止された「インチ系規格」をISOに採り入れようとして賛意国を視野に合従連衡の動きをとるなど理解に苦しむ現象も起きている。

 今のところ成熟しきった先進市場を活性化させたり、良好な景気刺激策もない。中国民数の多さ、その多い国民を豊かにすれば消費も多くなり、市場としてこれ以上の魅力はない。少々の専横にも目を瞑るというのが苦虫を噛みしめる先人・先進国の人たちのようだ。こちらを憂いあちらを喜ぶつもりはないが、再び中国賛美となってしまったか…。   

[2011年1月27日付け本紙2173号掲載分]


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