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社説 波紋

稔の秋でも・・・

 秋たけなわなれど、まだ未練がましく西の海には台風が迷走中であり、にもかかわらず気候は急に寒さが増して冬のおとずれを思わせる昨今である。

 産業界でもすでにコガラシが吹き始めている。先日発表された9月の鉱工業生産速報では生産指数が前月比1・9%の低下ということだ。前月がすでに0・5%の低下となっており、ということは季節要因を差し引いてもダメな8月に比べて、更なる低下という9月の生産水準はどういうことだ。すでに足下は冬の寒さに覆われはじめたということか。

 9月が屈折点となりそうな先行きの見込みを製造工業生産予測調査結果からのぞいてみよう。10月の予測はきわめて悪い。自動車が主体の輸送機械工業が前月比ベースで9・9%減と大幅に低下する見込みである。電機工業が若干の低下とするものの情報通信機工業ときては10月=4・4%、11月=7・3%と連続の低下見込みということだ。鉄鋼、金属製品も同じような流れ(低下基調)となっていて、製造工業は前月比3・6%の低下という、正に冬の時候のごとき足どりとなっている。

 ねじの最大の消費先自動車も8月、9月と振るわない。稔の秋でも普通乗用車の生産台数が五十万台を割っており、産業界の冷え込みを感ずる次第である。


[2010年11月7日付け本紙2165号掲載分]


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