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社説 波紋

機械工業生産約8%増

 日機連がこのほど発表した「平成22年度機械工業生産見通し調査結果」によると、平成22年度は前年度比7.8%増と三年ぶりの増加だとしている。景気は着実に持ち直しており、自律回復への基盤が整いつつある昨今、年度後半の景気動向を見守りたいところだ。

 日機連まとめの22年度生産額見通しをみると、まず前年度の動向については、20年9月の米国の金融危機に端を発した世界同時不況の影響を受け世界経済が低迷する中、生産は大幅な落ち込みとなった。しかし、中国などの新興国における景気刺激策の効果には目覚しいものがあり、わが国機械工業も21年度に入り輸出を中心に回復の兆しが出始め、鉱工業生産も輸出や個人消費に連動し徐々に回復を迫っていった。こうした中で機械工業生産は前年度比18.7%減の61兆4,467億円となった。

 22年度については、前年度からの各国政府による景気対策の効果や中国などの新興国経済の拡大を背景に、輸出を中心に生産も回復基調にある。国内も外需による生産の持ち直しや緊急経済対策を始とする政策効果により企業収益も改善に向かい、企業の業況判断も好転しつつあり、設備投資も下げ止まった感も見られる。これらを背景に、今年度の機械工業生産は各業種とも堅調な増加を見込んでいる。しかし、今後の見通しは、海外ではギリシャの財政危機に端を発した欧州の信用不安によるグローバルな金融市場の混乱懸念、円高・ユーロ安・ドル安・人民元の弾力化改革などの為替動向、また、国内では依然雇用情勢の改善が遅れていることや、デフレ懸念、資源価格の高騰など不安定感はぬぐいきれない状況にある―としている。

 こうした中で平成22年度の生産額は前年度比7.8%増の66兆2,371億円となる見通しであるとしている。


[2010年8月7日付け本紙2156号掲載分]


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