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社説 波紋

拡大しつづけるアジア輸出に時代の流れが・・・

 高級品志向市場に向けた少数精鋭商品群を主体とする商売か、それとも薄利多売の商売か。高級品も売れてこそ価値があるが「売れなければゴミより始末が悪い」となる。

薄利品もそれなりの利益が出なければそれこそ「くたびれもうけ」になりかねないので、安く沢山そして上手に売らねばならない。そこのコツが薄利多売のカギである。

 高級品しか買わないロンドンの紳士が斜陽化と共にお金にこと欠くようになってからというもの高級品が売れなくなり、逆に中間層の働き蜂が安い物をせっせと買いまくるようになり、中間層市場が活況を呈するようになった。すると、自動車でも家電品でも、余計な部品アクセサリーをとっ払らっての低価格品主体の新しい購買層が台頭する。

 先進市場は安定はしているが成長性に期待は持てない―といわれる中で、発展しつづけるアジアの新興市場では先程の「低価格品主体」の市場が急成長を始めている。中国やインドがそれだ。従って、過去に高級品市場に向けての体制づくりを図り、維持してきた輸出品メーカーは、余計な部品やアクセサリーを取り払った低価格品市場に向けた生産をしたのでは採算が合わない。戸惑いは隠せない。

 拡大しつづけるアジア輸出に時代の流れがはっきりと現れている。ときの流れを感じずにはいられない。

[2010年5月7日付け本紙2147号掲載分]


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