現在位置: HOME > コラム > 波紋 > 記事


社説 波紋

花の寺社めぐり

 「花の寺社めぐり」と私鉄各社が共同で客寄せのスタンプラリーを展開している。桜も散り特に散策の手もないままそのラリーのパンフレットに釣られて出掛けてみた。

 まず、地元の乗蓮寺から花めぐりスタートとなったが、ここは正月の初詣に毎年訪れるので、足早やに済ませ、東急目黒線の西小山駅下車の「圓融寺」(えんゆうじ)」へ。ツツジが見ごろのこの寺はなんと仁寿3年(八五三)慈覚大師の創建(天台宗)の古刹で、禅やヨガやインドの伝承医学として知られるユルヴェーダが体験でき由緒ある寺だ。

 地下鉄日比谷線で広尾駅で降り「祥雲寺」へ。福岡藩主黒田長政の没後、跡を継いだ黒田忠之が赤坂溜池の屋敷内に建立した寺に始まる名刹として知られる。ここを御用地としていた有栖川宮の名を冠し、昭和九年に「有栖川記念公園」が開園される。ハナミズキ、そして来月下旬にもフジ、アジサイが見ごろを迎えるという。

 京王線でつつじヶ丘に出て「深大寺」へ。その名の通り、ツツジ、サツキが出迎えてくれる。寺名は、豊かに水が湧くこの地に祀られた水神の深沙大王に由来しており鎌倉時代には源氏の祈願所として栄えた名刹だという初夏を回ればアジサイ、スイレンなどを楽しめる。

 めずらしい名のお寺というので行ってみた。秩父線の「西武秩父駅」からバスで15分「音楽寺」(おんがくじ)である。寺の名は、松の梢を吹く風の音に由来しているという。ポピーやルピナスが咲きにおう。このあともラリーはまだ続いた。ゆく春を惜しみつつ、花めぐりにて締めくくった次第である。


[2010年4月27日付け本紙2146号掲載分]


バックナンバー

購読のご案内

取材依頼・プレスリリース

注目のニュース
特集
  • 阪村氏「ねじと人生」
  • 機械要素技術展
  • 最古唐招堤寺からねじ発見
  • 同志社クラーク記念館からボルト