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社説 波紋

日本ねじ研究協会編「ねじ締結ガイドブック」によれば・・・

 物には限度というものがあり、締結ボルトにも疲労限度というものがある。その度合が低い(または小さい)場合は限度を超えても気付いたり検知するのが難しく、突然不慮の事故・災難がやってくる場合がある。春は不思議とこの疲労破壊事故が多いようである。

 日本ねじ研究協会編「ねじ締結ガイドブック」(第2項疲労強度)によれば「一回の静的荷重では破壊しない荷重でも、その荷重を繰り返し負荷すると部材に微小な亀裂が発生し、この亀裂が成長して破壊する場合がある。この破壊が「疲労破壊」である―」としている。

 一般に、鋼ボルトの場合は繰り返し数が五百万回程度を超えても破壊しなければ、永久に破壊しないといわれており、無限の繰り返しに耐えるとみなされる所謂“上限の振幅の値”を「疲労限度」というそうだ。因みに、ある指定した繰り返し数に耐え得る応力振幅の上限値を「時間強度」といい、この時間強度及び疲労限度を総称して「疲労強度」というそうである。ついでにいえば、同ガイドブック第2項(2)疲労試験方法の触りで「ねじ締結体の強度設計において、ねじ部品の「疲労強度」は重要な因子の一つである。この疲労強度に関するデータを蓄積する上で疲労試験方法の標準化は重要な意義をもつ」と指摘している。

 ねじ締結体に関する事故が起きると、どこに原因があっても巡り巡ってねじ業界にシワ寄せしてくる。春一番が吹こうとも三寒四温が中春の常であろうとも、暮々もねじ締結体の強度設計にミスのないことをユーザー各位に望み、斯く祈る次第である―。

[2010年3月17日付け本紙2142号掲載分]        


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