社説 波紋
昨年の大幅ダウンから今年は前年同月比では増加傾向
住宅建築や家電製品が景気の浮沈を極端に映し出すのに比べ、自動車産業にあっては、いかに景気が悪くなっても減少とか、落ち込みといった表現には縁がなかったのだが、昨年はさすがのその常勝産業も大幅ダウンを余儀なくされた。
もっとも、自動車がこの有様だったので、他のあらゆる産業が激減の二文字にさいなまれたのは周知のとおりだ。わが国製造業にとって、かつて経験をしたことのないビッグな不況だということで、まァいい経験になったとすべきだろう。
ところが冬の寒さも温暖化の下では身にこたえる間もなく温かくなってしまう。自動車不況もそれによく似ていて、今年1月の自動車メーカーの生産実績をみると、トヨタが国内27万台で前年同月比二九%増。ホンダが国内海外合わせて四三%増。日産が同じく九七%増と、もう元の水準へ戻りかけ、冬の冷え込みも大分薄らいだとしている。
風が変ればおいらも変る・・・というのが自動車部品。機関部品四四%増、駆動伝導・操縦部品六六%増、懸架部品五〇%増と、どこを押しても大幅増の返事がかえってくる。
[2010年3月7日付け本紙2141号掲載分]
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