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社説 波紋

フンドシの紐を締め直すのも間に合うか?

 堅調に推移していた輸出動向に先行き不安とする黄色信号が点灯した途端、わが国の製造業は広い範囲で緊張感が走った。

 製造業の景況観をのぞくのによく用いる「機械受注統計」(内閣府)をみてみると、対前月比レベルで5月が12.2%増、6月が3.9%増、7月10.4%減、8月13.9%減と輸出環境の悪化を反映して製造業の設備投資意欲は後退加減となり、10月の生産はマイナス見込みとなった。

 情報通信機械を中心とした電器産業が需要の頭打ちから伸び悩み状態なのも、製造業の異変とすることができる。消費者の購買意欲が振るわず秋需につながらない―と電気屋さんは嘆く。あれほど新製品に飛び付いたケイタイ族も乗って来ない。

 順風下での商売がぬるま湯につかり過ぎて風邪を引くような目先の変わり様に、さてフンドシの紐を締め直すのも今間に合うだろうか。アメリカがクシャミをしたのだから気をつけねばならない昨今だ。

 もう手遅れなどと言いたくはないが、転ばぬ先の杖よろしく、不況に強い経営手法や技術革新が求められる冬の時代がひしひしと近づいているようでもある。10、11月の経済動向がどの程度の水準で推移するか見守りたい。

[2008年10月17日付け本紙2091号掲載分]


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