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社説 波紋

ささやかれる景気後退感

 5年と9カ月前の平成14年1月を景気の谷間として以後順調に景気は回復軌道に乗っている今日に至る。人が寄れば、これまで戦後最長であった『いざなぎ景気』(57カ月)を超えて記録を更新した――と景気の現状を楽観視する声が聞かれたものだが、実際にはその時点で足元の景気は不透明でヘタすればツマずきかねない不安材料が見え始めていた訳である。

 景気の拡張局面は18年10~12月期が過去最高を記録した(鉱工業生産の指数水準108・9)ものの、年があけて動向は後退局面へと進み19年1~3月期は前期比1・3%の低下となった。前期水準が高かったので景況面に差したる不振感は映らなかったが、一部の業種では在庫の積み上がりがみられるなどこれまでの状況とは違った異なる動きがみられるようになった。

 それでも経済産業省あたりは、この5年間に何度か景気の転換(後退局面入り)を示すシグナルではなく短期間で収束している訳で、その結果をみる限り、現時点で景気後退局面入りしたとは言えない――と強気の判断。電気機械、一般機械、輸送機械の各製造業の上昇寄与が大きい点は過去の景気循環を踏襲しているためか。そのように受けとれる。そういうことで、景気拡張局面はへたってはいないということだ。

[2007年9月27日紙面から]


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