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社説 波紋

環境を制する者が市場制す―ハイブリッドカー攻勢

 既報のとおり日産自動車と日本電気、NECトーキンの3社は合併でオートモティブ・エナジー・サプライ株式会社(略・AESC)を設立した。環境への対応を考えて普及が目ざましいハイブリッド車や電気自動車が今後更に実用の度合いを高め生産台数を伸ばすことが見込まれる。そこで必要となるのは高性能リチウムイオンバッテリーである。

 必要が発明をもたらし新しい技術を生み、来るべき新時代に備える。NECのひたむきな研鑽がそれで、大容量ラミネート型電池(セル)技術を確固とし、生産もOK、技術供与もOKというところまで押上げた。一方、日産自動車は、日産独自のハイブリッド車を2010年までに投入し「2010年代の早い時期に次世代の電気自動車などの生産をスタートさせたい」という訳で、NECのリチウムイオンバッテリーは「渡り船」といえる。

 昨年12月に日産はCO2排出削減を目的とする環境行動計画「日産グリーンプログラム2010」を発表したが、今回のNECとの提携はグリーンプログラムの重要項目の1つだとしている。グリーンテクノロジーの開発は、日産はもとよりカーメーカーのいずこも躍起となっている最大課題であり、イオン電池なのである。

 ハイブリッドカーで環境ニーズをクリアする。この行動を支援するのは「技術」である。日産の首脳陣は「コストと台数が、新技術を浸透させる上で大きな課題だが、専門会社(AESC)を立ち上げることで、原価低減と量産に直接対処できることになる」と、性能や信頼性の向上を図る…と意欲のほどをのぞかせている。

 いつかも記したが、環境を制する者が市場を制す―という事。エコカー用のパワートレインの開発ではもはやハイブリッドの時代だ―。

[2007年5月7日付紙面から]


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