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社説 波紋

自動車産業、多面的需要へ対応急務

 バブル経済崩壊後の日本の産業社会は多面的に変わったが、特に個人消費関連で金銭感覚。リストラの嵐が吹き荒れる一方で、定年延長だの派遣社員雇用拡大だのと、いいのか悪いのか捉えどころのない産業社会の実体にサイフのヒモが引き締まるのも無理はないということか。

 最近の日本自動車工業会の「乗用車市場動向調査」では、90年代以降の車需要と意識の変化についてこう述べている。ドライバーの高齢化・走行距離の減少(無闇に車を乗り回さない)、保有の長期化や車を持たない・その他中古化・小型化げ顕著。いわゆる車の魅力後退が車需要の足かせになり始めているという。

 それでいて自動車産業は唯一の元気業種であり、ものづくり産業界で一番の儲け頭なのである。がしかし、果たしていつまで続くだろうか。車を買い替えない・車を持たないなど、消費嗜好と生活の変化から車の購入は控えられている訳で、この傾向は拡大固定化しており、「複合的要因により車需要は抑制されつつある」と述べている。

 勿論、この複合要因に対応するために自動車メーカーも様々な対策を検討し戦略を実践している。その代表は魅力的な商品開発。ズバリこれだ。これほど単純明快な答えはない。されどこれほど結果予測が難しい事もあるまい。車と肩を並べる電機産業等他財をみても分かるが、生活上夢や楽しさを感じる商品には様々な魅力づくりの工夫が背景にある。

 従って、新車需要活性化の方向(商品の魅力作り)が急務となっている下で彼らは「ユーザーが期待する(1)多趣化(拘る商品)(2)多層化(多様な生活への層別対応)(3)多面化(情報・サービスとの融合)に対応し、商品の魅力を増やし需要の活性化につなげていく」と“3多”戦略を以って難題に応えんとしている。

[2007年4月27日付紙面から]


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