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社説 波紋

桜と同じく経済にもまた素っ気なく寒風が散らす

 4月2日は方々の会社で入社式が行われた。4月の声を聞いて桜の花も一気に満開となり、風に吹かれて花びらが舞う光景を目にすると、あの「ああ上野駅」の歌と、集団就職で上京する少年少女を乗せた就職列車を思い出す。

 中小企業の某工場での入社式でまだ子供としか思えない幼い新入社員の緊張した顔をみるにつけ、親御さんたちの心情が伝わってくる思いがしたのを今でも心の隅に残っている。そのせいなのか4月1日ということ複雑な感傷ににかられる。「高度成長」「バブル経済」等のトンネルをくぐり抜けてある今日的日本社会では全く考えられない、つい先日の出来事「集団就職列車」のことが…。友は。さもあらんかなと素っ気ない。

 桜は咲いたが意地悪天気は友以上に素っ気なく寒風を撒き散らす。花冷えの桜は身を縮み上げる。当初の集団就職者として「就職列車」で上京、都会の人間となって今や孫さえ居る友は「あの頃の日本に戻したいよ」という。木を見て森を見ず―というけど、それは「就職列車」以前の格言。今は木を見ずして森を語れず―だ。

 生意気で屁理屈だけの取柄のないやつばかり。やたら声ばかり大きいが腹は小さい。花冷えの桜が笑いますよ。幸い日本列島のねじ需要産業地域は生産は上昇傾向、設備投資は増加といった状況だ。されど花に嵐のたとえあり。自動車産業に花冷えあって、電機業界に嵐がないと言い切れない。経済動向に恐慌の嵐だってないとは言い切れない。過去の歴史をみる限りその用心だけは怠ってはならない―4月1日入社式の日にちなんでの余聞とした。

[2007年4月7日付紙面から]


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