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社説 波紋

ビッグスリーの落日

 暖冬の東京では、我々にとって毎日が活動しやすいまことに結構な陽気だと何のためらいもなく言い過ごしている。

 雪が少なくてスキー場はお手上げだし、暖冬で白菜が出来過ぎて値崩れ防止に出来過ぎだ重機で潰している光景。暖冬がもたらす社会現象もまた異常気象よりもっと異常ではなかろうか。冬に雪が降らなかった・少なかったでその反動として夏の水不足が懸念される。

 自然界とはそいうものなのであり、自然の力の大きさには勝てぬものなのだ。人間が造った人工的なもの、いわゆる「社会」にあっては「自然の力」のような強い力は存在しない持ちたくても持ち得ないものなのである。

 アメリカ自動車産業界のビッグスリーの一角を成したクライスラーが今や業界のお荷物的な立場にある。フォードだって「日本のマツダに肩を貸した様で実は肩を借りたのさ」と陰口を叩かれる昨今だ。

 まさかのビッグスリーの落日であり、いかなるものにも打ち崩されまいと自負した者達の敗北である。自然界の底知れぬ「力」の大きさの比でではないといえる。

[2007年2月17日付紙面から]


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