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社説 波紋

産業動向の跂行性の典型…

 炎天下は35度前後と厳しい残暑が続いているが、この暑さに逆らうように景気は悪化を辿りつつ景況感は冷え込んできている。経済産業省の6月時点での地域産業動向調査では「改善している」といった景気の「好転超」とする地域も多かったが、夏場に入って一転して景気は赤に近い黄色信号に変わったようだ。

 景気の悪化は、原油価格の高騰や株式市場の世界的な調整等のマイナス要因。加えてゼロ金利解除後の金利上昇懸念などによって企業・家計心理に不透明感が増幅し閉塞状態が景気の足を引っ張っているためだ。

 といっても産業動向には跂行性はつきもの。製造業と建設業がその典型。製造業は「設備投資がまだ当分強さを保つ見込み」とする投資意欲が支えとなって、上昇見通しが全体を構成している。

 一方、建設業はというと、これまでは天地の差くらい建設が悪かったのだが、昨今はというと、7月14日にゼロ金利が解除されたことで金利上昇リスクが一層高まった。今後の更なる金利上昇を見据えてマンションなど住宅の駆け込み需要が期待できる--この期待に押し上げられ、製造業の後塵を拝することなく建設業も「改善」に転じている。

 長梅雨で夏ものが売れない--と嘆く小売店主の泣き面をよそに、自動車関連の工場は残暑の下で従業員が「クソ暑いのに…」とボヤきながら残業している。残業が有るなんてウラヤマシイ--と「繊維」や「家具」関連企業の人たちの声。これが産業動向の跂行性の典型というやつだろう--。

[紙面第2014号から]


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