現在位置: HOME > コラム > 波紋 > 記事


社説 波紋

王子と北越の攻防、9回劇的な展開の行方は

 夏といえば高校球児の熱闘甲子園。いま正にその熱い戦いが繰りひろげられている。梅雨があけ、台風が幾つか飛び去って、途端に猛暑の再来である。当分は猛暑・残暑に攻め立てられそうだ。

 熱い闘いは甲子園ばかりではない。王子製紙の北越製紙が7日、三菱商事を引き受け先とする第3者割当増資を実施し、王子製紙による北越へのTOB(株式公開買い付け)は新局面をむかえた。王子と並ぶ製紙王手、日本製紙グループ本社もTOB阻止へ北越製紙株取得に動き、一層TOB成立のハードルは高くなった。北越側は筆頭株主となった三菱商事との連携をテコに、近く株主価値の向上策を公表する方針で、両陣営の攻防が本格化--と報じている。

 最新設備を導入して増産だの、輸出拡大だのと、突っ張ってみたところでトイレットペーパーやティッシュにいえることだが、もともと付加価値が低いわけだから、王子の統合案も、北越の三菱との提携案にしろ、結果・成果は知れている--。オカメ八目周りの株主たちは冷ややかな見方をする向きが少ない。

 熱い闘いが、展開次第で冷や水をかぶる寒い攻防になりかねない。甲子園の9回の劇的な攻防みる思いがする。

[紙面2013号より]


バックナンバー

購読のご案内

取材依頼・プレスリリース

注目のニュース
特集
  • 阪村氏「ねじと人生」
  • 機械要素技術展
  • 最古唐招堤寺からねじ発見
  • 同志社クラーク記念館からボルト