社説 波紋
実態以上の好況感、現状認識に懸念
昨今は実態以上の好況感に包まれ、政府も産業界もとても浮かれているようだ。2月も終盤に来て、当然のように空気は乾燥する。とは言え、景気も中味のない空っ風では困る。せめて陽気が好転する春一番くらいであってほしいものだ。
内閣府の2月の月例経済報告では、日本経済の基調判断として「景気は回復している。先行きについても、企業部門の好調さが家計支出を押上げ、これら国内民間需要に支えられた景気回復が更に続くと見込まれる」として、現状の認識は結構ずくめである。
その1、企業収益は改善し、設備投資は増加している、と日銀短観(05年度は三年連続の増で、製造業は二年連続の2桁増)や機械受注統計(増加基調)から意気軒昂な様子。その2、個人消費は緩やかに増加している(住宅建設の底固い推移など)。その3、雇用情勢は、厳しさが残るものの改善の動きが広がりつつある。
その4、景気の大きな柱である「輸出」は緩やかに増加している(輸送機械や一般機械が好調な対米輸出増加など)加えて国内生産も概ね増加基調であること(鉱工業生産は一部に在庫調整の動きはあるが輸出に支えられ緩やかに増加)等々だ。
[06年1月27日付紙面から]
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- 実態以上の好況感、現状認識に懸念 2006.02.27 月曜日