社説 波紋
国内から世界へ、足踏む先端産業
いま売れている商品は、使い勝手がよくて、価格が安いこと、この単純な2点で業界シェアのトップが次々と入れかわっていく世の中である。
米国の自動車、いわゆる大きくてカッコいいというだけでは売れないのである。実用性と性能の良さでトヨタ車が米国シェア1位のGMを追い越してしまったが、使い勝手はよくて性能・品質がよくてその上価格が安い、トヨタの奪首は当然の結果かも知れない。
国内でもデジタル家電や情報機器分野で使い勝手と値段の勝負で凄まじい競争が繰り広げられている。きのう日立、きょうは松下、あすはソニーといった具合で、首位の座が入れかわっているという。
このような自動車や電機など先端産業は国内の首位争いからグローバルな展開へと変転していくことが恐ろしい訳である。自動車などで日本が本場の米国で地元のトップ企業を抜くなど、更に恐れた事態だと思う訳だ。この構図が、やがて日本が中国や近隣国に追い落とされる形に変転してくるかも知れないそのことを…。
[06年1月27日付紙面から]
バックナンバー
- 国内から世界へ、足踏む先端産業 2006.01.27 金曜日