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社説 波紋

企業は生きもの、安定はない

 安定とは一時的なもの、永続的なものではない。企業は生きもの生きものに安定はない。安定の言葉が当てハマるのは墓場の墓石くらいなものか。墓石だって地震で倒れ、無残な光景をさらすことだってある。

 老舗ほど「安定」とは縁遠いことはない。現代社会(いや現代の産業社会)の変り様はそれだ。もし老舗が安定の日々を送っているとすればそれは墓石と同じだと見てよさそうだ。 ”鋼材”それは昨今の高騰第一の物資であり、昔から鋼材問屋ほど不安定を世の常として繁栄を築きあげ、不安定なればこそ儲け上手が稼ぎ、安定をむさぼったとする業界はなかろう。

 ところが今日ではそうも行かなくなったようだ。企業が型にハマってしまい、型どうりに事業を進めないとダメの世の中となった。ライバルと同じことをやっていることに気付く。慌てて方向転換などすれば遅れを取ることになり、損もするだろうから、暗雲に突っ走る。

 現代人はご飯とミソ汁は一緒に食べない。ご飯を食べ終えてからミソ汁を吸う。こういう人種が市場で競争しているのだから、型どおり以外の経営あるいは事業はやらない。同じ轍を生むことはしない。損も得も同じ。だから市場が大きくならない。


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