イカロスの翼症候群
年明け、インフルエンザが流行りましたね。貴方様は元気でお過ごしでしたか?
私は運よく罹らなかったのですが、通っているスイミングのコーチがインフルエンザ。一度だけでしたが、不在時にはサブの方が指導してくださいました。サブコーチは表情が普段より締まって見え、責任感が顔つきにあらわれていました。「自分がやらなきゃ!」という立場に置かれると、それなりになるのだなと感心したものです。『立場が人をつくる』とはよく言ったもので、昇進昇格すればそれ相応の責任感が身につき成長するのですね。
さて、責任感が出る立場になるのは喜ばしい出来事。しかし、上に行き過ぎると転倒のリスクも大きくなる事をご存じですか? 昔、ギリシャのイカロスが蝋の翼を過信し、急上昇し過ぎた為、太陽の熱で蝋が溶け海に落ちて死ぬ、という逸話はご存じだと思います。現代においては「イカロスの翼症候群」と呼ばれる事例です。しのぎを削って成功したのもつかの間、そのポジションと権力は、人間の人格を変える事があるのです。傍から見ていると大変興味深いもの。
今やどんな分野においても若い年齢の発想力や手腕が生きている企業は少なくない。私が見たイカロスの翼を背負った経営者様も三十代でした。景気よく高額なワインを嗜まれていましたが、言葉尻に引っかかる節があった。一緒に来店されるお連れ様に対しても、お店のスタッフに対しても傲慢さや横柄さをちょっとした仕草の中に感じたのです。やっぱりなと思いました……、お顔を拝見しなくなるまで一年半と持たなかったと思います。人づてに聞いた話ですが、その方はいくつか裁判を抱えられ、自己破産されたとか。
永くトップの地位に居続ける経営者様とは何が違うのか。会社を維持し成長させようとするにはある程度の指導力や威厳は大事だと判りつつも、やはり謙虚さを欠かない姿勢が大切なのです。言葉遣いひとつが行動に顕れる事を理解し、節度を失わないように習慣づけていらっしゃる。一挙手一投足を日々の生活の中に落とし込み、自分の立場を意識するというのは、とても難しい事。同時に、素晴らしい事だと感じます。私自身も色んな人との出逢いを繰り返しながら、心に留めるべき事が多いと感じます。
貴方様も自分の生活行動を改めて振り返ってみてくださいませ、ね?
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- イカロスの翼症候群 2024.04.07 日曜日