Maison HANZOYA
柔らかな春の陽のような優しさが溢れ、隅々まで人の想いが宿っている。我が家のような空気感が場所だけでなく料理の中にも溢れている。子ども連れでも、病気で食事に不便のある人も家族みんなで一緒に食事が出来る。こちらのお店のコンセプトを読めば行ってみたくなるはず。――今回の五感を揺さぶるお店の名前はHANZOYAさんです。
オフホワイトの外壁に温かみのある木製の扉。店内へ足を踏み入れると、重厚でありながらも柔らかさが醸し出されている空間に胸が躍ります。威圧感のない大きなワインセラー。肩肘張らずに済むテーブルクロスのないお席。水牛のカトラリーレストにお箸。梅の花が咲きかけた明るい庭を臨む大きな窓。柔らかく明るい雰囲気の中、スタッフさん達も自然で優しい笑顔。
スタートはヴィシソワーズ。オマール海老のオイルがふわっと香ります。二品目は蕪のロースト。ほわほわと蕩ける舌触り。添えられたソースも蕪の葉の緑色が鮮やかです。三品目はスープ。甘エビとヒラメが美しく巻かれ、それを河豚出汁とオレンジ白菜に絡めて口へ運びます。河豚のヒレの歯ごたえが良いアクセント。四品目のビスクには熊野地鶏のコクとトリュフの香りがギュっと濃縮されていて、熱々のフォアグラのポアレは口の中でプリっと弾け旨味が広がります。お魚は柔らかく淡白なカワハギ。カリカリに焼かれた椎茸を鱗に見立て、ホタテのソースに春菊の美しい緑が混じった海が広がっている。一皿の世界感が面白く驚かされます。お肉は50日間熟成されたドライエイジングビーフ。噛めば噛むほど味わい深い。隣のパン工房で作られた玄米パンで、お肉に添えられた赤ワインソースを最後まで堪能します。(因みにこちらのパン工房「シャンドブレ」さんは開店前から長蛇の列で、常に関東トップランク!)最後のお料理、リゾットは野性味のインパクトが強烈でした。これまでのリゾットの概念を覆されるような生薬的な要素が癖になります。食事って、身体はもちろん心も形成されますよね。付け合わせひとつにしても手の込んだもの。安心な農家の野菜。自ら摘んだ果物やハーブ……そういった食材に対する愛情が全てのお料理に織り込まれているのには心が震えます。デザートにフォンダンショコラと爽やかなハーブティが出されたとき、何もかもが満たされた優しい気分になる事が出来ました。
如何でしょうか? 最高に心地良いフレンチの世界、あなたも体験して
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- Maison HANZOYA 2023.03.07 火曜日