沈黙は金、雄弁は銀
黙っていることは多くを語るよりも価値がある、という意味です。下手な弁解や言い訳をするくらいなら黙っていた方がマシ。日本人の気質として、思っている事をそのまま口に出さない事が美徳ともされていますが『語り方』なんて十人十色。
私が大阪から出てきて銀座に勤めて最初の頃は、東京に住んでおられる殿方のなんとも、そつのないクールで上品な話し方!!!
「え? え? オチはどこ? 何処で笑ったら良いんかなぁ。あ、なくていいんだ〜!」
って心の中で呟いてしまいました。
大阪に暮らしているお客様はお話に必ずオチがあるし、言葉のテンポやトーンを聞いているだけで面白いんです。銀座のクラブの常連様の語り口調が落ち着き払って、なんだか気取って見えて、落ち着かないなぁ、って思っていました。でも馴染んでいくとそのお客様の生き様を垣間見る事が出来て、大きな発見でしたね。大阪に居る時は「嘘かホンマか分からん」冗談を言い合いながら笑っていたのでお客様一人一人の人間の本質みたいなものが見えにくかったのですが、銀座はその逆で……大阪人と東京人はこうも違うのか、って感じました。
勿論、あらゆる地域・地方から銀座に遊びに来られる方々も多いですし、人には個性があります。ワイワイお話し好きのお客様もいらっしゃれば、静かに飲みたいお客様もいらっしゃる。どんなお客様の席に座っても、お客様の要望に合うように自分を変えての接客は難しくもあり、楽しくもありました。銀座デビューしてからというもの、多くを語らなくとも風貌やオーラだけでその人物を物語れる事もあるんだなという気付きが多かったように思います。お話し上手が一番って言えないんだな、と。使っている言葉、その選び方って大事だなとも思うようになりました。丸い卵も切りようで四角、ですから。それは男性にだけでなく女性に対しても言える事で、相手の話を聞かずに自分の話をする人は余裕がないように感じてしまう事ってありませんか? 人の事を深く知り過ぎると厭になる場合ってありますよね。そうです、挨拶を交わす程度が一番いい!
良好な人間関係を築く上でも「沈黙は金、雄弁は銀」とは実に的を得た格言のように感じられますね。
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- 沈黙は金、雄弁は銀 2022.06.07 火曜日