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盛者必衰

 「昭和の大物も愛した老舗が次々閉店!!」

 そんなニュースを見て、あぁ、と思わず声が出ます。銀座の目玉の一つであったGINZA SIXでは20店ほどが閉店し、ホステスや黒服の出勤前の立ち寄り場、銀ブラ中の憩いの喫茶店「アマンド銀座店」も長い歴史に幕を閉じる事になりました。高級クラブ、バー、スナック、そんなネオンも日に日に幻のように消えつつあります。痛手を負うのは銀座界隈の食事処も同じ。いつか記念日に行ってみたい、同伴で使ってみたい、そんな食事処が閉店している。まさか、慣れ親しんだマスターや料理人さんのお店がなくなるらしい。

 『実は、残念ながら××は今月いっぱいで閉店することと致しました。貴女には大変お世話になり、本当に感謝しています。どうぞお元気でね!』
こういった哀しいお知らせを読む度に、活けてある美しい生花の花びらが落ちていく様を想像してしまいます。自然に生息している花でなく活け花を思い起こさせる理由は、銀座には人工的に作り上げられた美しさと儚さを感じるからかもしれません。

 今後の銀座はテナント代が下がり、低価格で楽しめる飲食店が増える可能性もあるそうです。実際、今の銀座はかなり風紀が乱れていて、物騒になっています。見るからに反社っぽい人々が彷徨っているのを見ると、ゾッとしてしまいます……。

コロナ以前からも、銀座の客層といえば高齢でこのままでは先行き不安だと心配している節はありました。そもそもそんな状態ですからコロナ禍ではますます悲惨な状況です。

 盛者必衰、そんなワードが頭に浮かび、世の無常を感じずにはいられません。人もお店も、この先にはないかもしれない、再び会えないかもしれないし、そこに行く事はもう出来ないかもしれない。慣れ親しんだこの銀座が、新しい様式の銀座へと変容していく。そこには新しい色の花が活けられるのだ……。揺るぎのないものなど存在しない、そんな脆さと危うさをひしひしと感じています。

 一瞬の時間、この瞬間を大事にしなければ……。私は心にそっと哀しい誓いをたてるのでした。





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