心身の健康
仕事が取れた瞬間は大きな喜びに包まれ、思わずガッツポーズ! でも仕事が増えれば増えるだけ、忙しくなればなるほど、ストレスも増す。仕事に伴って人間関係や人付き合いが複雑化するからです。今貰っている仕事量を減らしたくない、そう思うプレッシャーも大きくなるでしょう。ホステスも同じです。来店があった時はガッツポーズ! でもお客様が被った時はどう対応しようかと焦る場面が多くなり、応援して下されば応援して下さるだけ、そのお客様に割く時間も増えます。先月の売り上げを今月は上回りたい、来客数を増やしたい、そう思うと、月の後半がしんどくなってくるんです。
何が辛いって、仕事の事を考えると眠れない。そう感じ始めたのは銀座に来て二年目の事でした。驚いた事に私の睡眠サイクルは二日に一回。目は充血して、頭がうまく回転しません。二カ月に一度は内臓がよじれる様な吐き気に襲われて、午前中点滴を打って夕方からお店に出勤します。……これはまずい。薬に頼るのはだいぶ抵抗があったのですが、思い切って睡眠薬を飲む事にしました。そこからはなんとも調子が良い。仕事のストレスは相変わらずですが、眠れる事によって頭がすっきりして体力が戻ってきました。睡眠薬はそれから毎日飲み続けました。しかし段々効かなくなってくるんですね。そうすると、少しずつ薬の量も増えてきます。不健康極まりない仕事だとお思いでしょう? そう、その通り。アルコールに睡眠薬漬け、食事は不規則、寿命を縮めていますよね。ホステスの仕事って、思われている以上に体力勝負・精神力勝負なんです。私に限った事でなく、ホステスさんの多くがそういったストレスを抱え、挙句の果てには精神を患われている方も少なくないのです。今考えると、もっとゆったりとした気持ちで仕事すれば良かったなと思います。あの頃は、それが分からないくらいがむしゃらでした。お客様に楽しんで頂く為に、きちんと接待するはずのホステスが、不健康で数字を追いかける事で頭がいっぱいになり、自分を見失っている。銀座を卒業してからは睡眠薬を一切使わずに眠れるようになりました。陽の光を浴びて心身ともに健康になったから、そういう時期も客観的に振り返る事が出来るようになったんです。お仕事熱心な殿方こそ、どうぞ心身ともにご健康であって下さいね!
十八回までご愛読下さりありがとうございました。またいつかお目に掛かれる日を楽しみにしております。
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- 心身の健康 2020.11.07 土曜日