現在位置: HOME > コラム > さゆり「おとなまえ」 > 記事



自営の父と会社員の殿方

 「さゆりちゃんは自営業のとこの娘さんだって判るわね」七丁目のクラブに居た時に、ママからそう言われました。商売の仕方がそうなのだそうです。言われてみると、父と同様に個人事業主としてホステスという職業に遣り甲斐を感じていました。そういう気質があるという事でしょうね。

 うちの父は、兵庫県の西脇市という田舎で「橋本屋」という鰻屋を営んでいます。(ちゃっかり宣伝です! 西脇市に行かれる際は是非お立ち寄り下さい)百三十年の歴史があるので絶やすのは勿体無い、という事で二年前に弟も脱サラして父の跡継ぎをしてくれています。大学に行くまで、休みなく働く父親の姿を見てきましたが……、銀座には、言葉足らずな職人気質の父を珍しいと感じてしまうほど、社交的な会社員の殿方ばかりいらっしゃいます。私は両方の人種を見てきた訳です。どちらが良いとは思いません。どんな職業にも大変な物事はつきもの。飲食店は「ミズモノ」だし、会社は「リフジン」。幼い頃は父親に遊んでもらえなくて、友達の土日休みパパが羨ましかった。自営業の男性とは絶対に結婚したくないと幼心に思っていたものです。今は、職人として働く父親を誇りに思います。そこには定年がなく、自分の体と気持ちさえあれば仕事を続けられるのですから。老舗のクラブで七十歳を超えるママさんを見ると、責任感とか築き上げてきた人脈とか、そういうもの大事にされてきたんだなぁと、しみじみと感じます。銀座という街の中で何十年も生きている。銀座はムラですから、それなりに大変です。会社員は転勤が付き物で転勤の先々での新しい人間関係・環境に慣れるのに大変ですが、ずっと同じ地域で限られた人間関係の中やっていく大変さもあるのです。

 私は田舎のムラの中で育ってきたから、しきたりとか風習とか言うものに慣れている。御礼状やお中元など親がこまめにしているのを見てきたので、やはり違和感なくお客様に手紙や贈り物が出来ました。やっぱりそういう時、親の背中を見て育ってきたんだなと思うわけですね。育ってきた環境は大きい。弟にしても私にしても、結局個人で仕事をする方を選びました。もう二度と会社員には戻れないと確信しています。

 貴方様は自分のスタイルに合うお仕事が出来ていらっしゃいますか?





バックナンバー

購読のご案内

取材依頼・プレスリリース

注目のニュース
最新の産業ニュース
写真ニュース

最新の写真30件を表示する