妾・愛人・恋人・彼女

　「囲ってやるよ」銀座の四丁目で高級焼き肉を食べている時の何気ないひとこと。
「へ？　カコウ？」「どうだ？」「どうって……」

　この世界において、愛人契約は稀ではないようです。銀座から水揚げ……。マンションを買い与え、毎月五十万のお手当を渡し、教養をつけさせる為に習い事をさせる。そう言う世界もあるんだなぁ。遠い世界の話だと思っていましたが、実際こんなオファーもあるんですね、愛人契約なるものが。「だから個室の焼肉屋さんなのか」と、何となく相手の意図が掴めてきました。その場は笑って交わしましたけど、この方なら愛人の一人や二人いても可笑しくないなと思っちゃいました。大企業のナンバーツー。

　銀座に「彼女」が居るお客様は多いと思います。それがお客様の思い込みであろうと、お店には「彼女」と呼べる存在のホステスが居る。だから通うのです。でも「愛人」はまた彼女と別物。所有物的イメージがあります。秘書という名目で経費処理をして愛人にする場合もあれば、自腹で愛人契約を交わすお客様もいらっしゃるようです。

　「さゆりは、あっけらかんに愛人してますってタイプだよ。そういう雰囲気の女性って居る」ある先生からそう言われた事があります。まぁ、私はもともと作家志望ですから、執筆に集中する為に家に居てパパからお金が入ってくれば御の字。……いやいやいやいや、拘束されるのが大嫌いで自由奔放な私にできる訳がない。そもそも恋愛感情抜きに割り切って本物の愛情なんて注ぐ事なんか出来ませんがな〜。いくら馴染みのお客様でも「イイお客様」止まりですよね。仕事やお金が絡んでくるからホステスはそのお客様を大事にするし、そんなお客様方の事が「大好き」。その言葉に嘘はないので罪にはならないけど「愛してる」とは言えません。

　色んな用語がありますが「妾」は本妻と同格で本妻公認の存在。「愛人」は生活の面倒は見て貰っているけど家族に知られていない影の存在。「恋人」は限定された尊い存在。「彼女」は恋人より軽いイメージです。

　このコラムを読んで下さる殿方の「心の恋人」的存在にはなりたいですね！

投稿日：2020.07.14 火曜日

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