お給料事情
私がこの世界へ入った時のお給料と比べて、卒業する時のお給料は約七倍になっていました。おおっと、これは驚きの金額だと思いませんか? 私の事はさておき、銀座と言う土俵において運があり努力をすれば、二十代や三十代にして年収一本超えのホステスさんも少なからずいらっしゃるという事ですね。
気になるお給料制度についてお話をすると、給与体系は主に二種類、「日給」と「折半」という分類が出来ます。ヘルプと呼ばれる女性は、あまり係りのお客様を持っておらず、その名の通りママやお姉さんのヘルプ。日給制で二万〜三万が多いと聞きます。ノルマに関してもママやお姉さんのお客様との同伴回数であったり、売上に関するノルマは少ないです。売上の女性はお客様を持っていて、最低保証額日給が四万円前後でしょうか。お客様がたくさん来店されて売上を上げれば上げる程その月の日給自体がスライドして上がっていき、ウン百万円のお給料の月も。但し、最低これだけ売上なさい、というノルマを売上られなかった場合、ペナルティとして、逆スライドという現象が起こります。減給ですね。また、売上のホステスの中にも折半をする方もいらっしゃいます。
数字の出せるお姉さんやチーママクラスになると、その日の自分の売上を店と折半するようになるのです。契約のパーセンテージにもよりますが、売上の四〇%〜六〇%をお給料で頂ける訳です。ただし、売上がその日ゼロであれば自分のお給料もゼロです。高給が手に入って羨ましいと思われがちですが、毎日のヘアメイク代、お客様へのプレゼント代、ノルマ達成出来なかった時の罰金、毎月の新調日の衣装代、深夜のタクシー代、所得税、そう言った諸々の出費の計算をしてみると、出ていく分も大きいです。
じゃあもっと稼ぎたければどうすれば良いのか。それは、お店を移る事しかないんです。次のお店と給与体系を交渉するのも自分の力量が問われます。双方が納得する条件で契約を交わし、その新たなお店へお客様がお運び下されば、晴れてステップアップになる訳です。しかしここでひとつ、花の命は短い……。年齢を重ねていくとお店を移るのはだんだん難しくなってきます。これはどんなに綺麗な花にも訪れます。世知辛いですね。
本紙2019年3月7日付(2465号)掲載
バックナンバー
- お給料事情 2020.04.16 木曜日