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KPMGの国別コスト調査、ドル安で欧州はコスト高に

 【トロント(カナダ・オンタリオ州)27日CNW=共同JBN】米ドル相場の劇的な低下のため、すべての先進工業国が事業運営コストの面で米国に対し不利になった。しかし、北米、欧州、アジア・太平洋の10カ国の136都市で事業コストを比較したKPMGの2008年国別事業コスト調査(コンペティティブ・オルタナティブズ)によると、米国との対比で最大のコスト上昇を示したのはオランダ、イタリア、ドイツ、英国だった。(デジタル・リポート、クリップはwww.f8films.com/client/kpmgca2008からダウンロードできる)

 欧州ではポンドに比べユーロの上昇幅が大きかったため、英国は大陸欧州より幾分恵まれていた。フランスは欧州諸国のなかで最も低コスト構造で、基準となる米国を3・6%上回っているにすぎない。これまでは米ドル高の恩恵を受けていたカナダとオーストラリアは事業コストが米国と事実上同等になりそれぞれ世界で2位、4位となった。

 この調査に初めて登場したメキシコは事業を行うには最もコスト安の場所であり、コストは基準となる米国より約20・5%低い。日本は依然として事業を行うには最もコスト高の国の1つだが、インフレ率が低く円の変動幅が比較的少ないため、長期的には他の諸国に対して優位に立っている。

 KPMGのコンペティティブ・オルタナティブ担当のグローバルディレクターであるマーク・マクドナルド氏は「これまで英国、オランダ、イタリア、フランスは基準となる米国よりコストが安かったが、主として米ドル相場の低下によりこれら諸国の事業コストはかなり高くなった。しかし欧州には地域間競争力を持っているという強力な証拠がある。労働市場の開放、より競争力のある税率、インフラへの投資は、欧州の米国に対する立場が変わってきたものの欧州諸国間でなお激しい競争があることを意味している」と語った。

 欧州ではパリのコストは米国のいくつかの大都市とほぼ同等だが、マンチェスター、フランクフルト、ロンドンのコストは調査した北米のどの都市よりも大幅に高い。ロンドンは調査した都市のなかで飛び抜けて最も高コストだった。

 フランスのトゥールーズ(航空宇宙、製品検査、臨床試験では非常に競争力がある)は欧州で調査した中規模都市、大都市のなかでコストが最低であり、フランスの強力な環境実績、低い犯罪率、健康管理機関へのアクセスのよさに伴うコスト以外の利点もある。トゥールーズに次ぐのはオランダのユトレヒトで、幅広い分野で事業活動に対する法人所得税率が低く、輸送インフラへのアクセスが優れている。パリは欧州で調査した中規模都市、大都市のなかで3位にランクされている。

 北米では調査した大都市のなかでメキシコのプエブラ、グアダラハラ、モンテレーの事業コストが最も低く、サンフアン、プエルトリコがそれに続いている。これらの都市は事業コストがやや低い米国南部の都市グループ(アトランタ、タンパ、ダラス・フォートワース)より上位にランクされている。これと対照的な立場にあるのがサンノゼ、カリフォルニア(シリコンバレー)、ニューヨークで、引き続き北米で事業を行うには最もコスト高の都市である。

 アジア・太平洋では、アデレードが同じオーストラリアのメルボルン、ブリスベーン、シドニーよりコストが低く、オーストラリアの都市はすべて世界の諸都市に比べ相対的に手ごろなコストである。対照的に日本では横浜(首都圏)が調査した主要な国際都市のなかでフランクフルト、ロンドンに続き3番目に高いコスト構造だった。

 今年の研究では、10年計画を前提に労働力、税金、不動産、公益事業など、その土地によって最も違いがあると思われる27の重要なコスト構成要素を17の事業活動に当てはめて調査した。またさまざまなコスト以外の競争力要素についてもデータを比較した。6カ月にわたる調査はオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、英国、米国の136都市で行われた。

 2008年リポートで新しいのは事業の魅力、立地に影響する広い範囲のさまざまな非コスト要素の分析である。リポートで比較されている場所選定要素にはマクロ経済指数、労働市場、イノベーション、事業・環境面の規制、インフラの質、エネルギー供給、生活の質が含まれている。

 KPMGとともにこのリポートの執筆者の1人であるMMKコンサルティングのグレン・メア氏は「最も望ましい事業地の選定は必ずしも金銭だけで決まるものではない。非コスト要素をこの調査に含めた主な理由の1つは、例えば、教育、熟練労働力、住宅コストが事業の成功に重要な役割を果たすからだ」と語っている。

 ▽国別比較
 ※メキシコは調査した国のなかで1位にランクされており、事業コストは米国より20  ・5%低い。この格付けは国別事業コスト調査に初めて組み入れられた新興工業国で  あるというメキシコの立場を反映している。

 ※カナダ、米国、オーストラリアはそれぞれ2、3、4位にランクされたが、その差は  1・0%以下である。米国は2006年以来最大のコスト競争力の上昇を経験し、米  ドル相場の低落により他のすべての国に対する立場が大幅に改善した。

 ※フランスは調査した10カ国中5位にランクされ、調査した欧州諸国中ではコスト構  造が最も低かった。

 ※英国、オランダ、イタリアはそれぞれの差が非常に少ないグループで6位から8位ま  でを占め、事業コストは基準となる米国より7・1-7・9%高かった。

 ※日本は依然として相対的に高コストの法律圏であり、全体の9位だった。しかし、日  本は低いインフレ率、米ドルに対する円の変動率の低さによってより長期的には他の  諸国に対して優位に立っている。

 ※ドイツ(ランクは10位)は全体で最も高いコスト構造であり、基準となる米国より  16・8%のコスト高である。イタリア、日本とともにドイツも高齢化というさらな  る難問に直面しており、人口の最大部分は44歳以上で、最小部分は25歳以下であ  る。

 ▽2008年と2006年の国別コスト競争力ランク
(数字は左から2008年順位、2006年コスト指数、2008年コスト指数、増減)
メキシコ    1  79・5
カナダ     2  99・4   94・5  -4・9
米国 3 100・0  100・0
オーストラリア 4 100・2   92・3  -7・9
フランス 5 103・6   95・6  -8・0
英国 6 107・1   98・1  -9・0
オランダ 7 107・3   95・7  -11・6
イタリア 8 107・9   97・8  -10・1
日本 9 114・3  106・9  -7・4
ドイツ    10 116・8  107・4  -9・4

 事業コストは指数で示され、米国の指数を100・0としてこれを基準とする。
 出典:KPMGの2008年国別事業コスト調査。

 ▽通貨レート
通貨          レート(1米ドルに対し)  2006年からの変動
オーストラリア・ドル  1・14ドル       +17・9%
カナダ・ドル 1・00ドル +17・4%
ユーロ 0・68ユーロ +23・7%
日本円 111・27円 +5・4%
メキシコ・ペソ 10・87ペソ -1・5%
英ポンド 0・50ポンド +14・4%

出典:KPMGの2008年国別事業コスト調査

 リポート全文にはwww.competitivealternatives.comでアクセスできる。

 ▽国別事業コスト調査(コンペティティブ・オルタナティブズ)について
 KPMGの2008年国別事業コスト調査は世界10カ国の約100都市の国際的な事業所在地のコストについて中立的な比較を提供する。この調査によって企業経営者は有力国のさまざまな都市の事業コスト比較を素速く調べることができる。またKPMGの専門家や経済デベロッパーの仕事や企業の立地移動の検討を助け、政策立案者がほかの場所との関係でコスト競争力に関する税金政策、誘致政策を変更する際にその影響についての判断を助けることができる。詳細な調査結果はwww.competitivealternatives.comでオンラインで知ることができる。

 ▽KPMGについて
 KPMGは監査、税務、助言サービスを提供する専門企業の世界的なネットワークである。145カ国で活動しており、12万3000人以上の専門家が世界のメンバー企業で働いている。KPMGの目的は知識を顧客、人々、資本市場の利益になる価値に換えることである。メンバー企業は深い業界知識に基づいて多くの専門分野にわたる財務、会計サービスの世界的に一貫したセットを顧客に提供することを目指している。

 KPMGの価値は顧客に対して、またお互い同士でどのように行動するかを決める。その価値は何を目指しているのか、物事に対してどう行動するのかを規定し、最も効率的で充足的なやり方で一緒に働く助けとなる。これによってネットワーク全体に一貫した強力な組織文化をつくり出すことができる。

 KPMGは資本市場で重要な役割を果たしており、信頼性と信用を強化するために業界内の前向きの改革を積極的に支持している。企業の社会的責任がすべての偉大な企業の中心であると信じて、事業活動している共同体に真の差違をつくり出すことにコミットしている。

(共同通信PRワイヤー)


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