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日本格付6.0など国債格付の新モデル公表、ベルテルスマン財団

【ベルリン、ワシントン、ギュータースロー(ドイツ)2012年11月20日】ドイツの著名なシンクタンク、ベルテルスマン財団(Bertelsmann Foundation)は国際的な実例、日本は高額の債務と人口動態変化に苦渋しているとの新しい格付けモデルを公表した。

日本は引き続き国際的なソブリン格付けで高い信用格付けを享受している。しかし、このような評価を維持するために、日本は一連の社会・経済的改革が必要になる。これはベルテルスマン財団が編さんし、最近公表された初の中立的、非営利指向のソブリン格付けフィージビリティースタディーの結論である。

伝統的なマクロ経済指標と同様に、このソブリン格付けには、国際的な格付け専門家の協力により分析中に展望指標が追加されている。これらの指標には国家の危機管理能力、投資、将来の資源開発、あるいは必要な構造改革の実行などが含まれる。このInternational Non-Profit Credit Rating Agency(INCRA)がどれほど有効であるかを説明するため、新しい指標セットを使う新しい研究のために5カ国が選ばれ、その信用格付けが計算された。

新しい格付け法は、日本の信用格付けとして(0から10のスケールで)6.0を与えている。これは伝統的な格付け機関ではほぼ「A-」のスコアに相当する。この格付けはこれまでより比較的やや高めである。最大の問題は、そもそも日本が債務の最高レベルにあることが分かったことである。日本の債務はGDPの230%と世界で最高であり、またこの格付けシステムに従い、スコアを下押しする結果となっている。特に、日本の人口動態変化に起因して、今回の研究調査の執筆者は「やがて、日本の人口が減り続け、急速に高齢化し、債務が引き続き増えていくと、巨額の債務に対する資金調達が問題になる時が来るだろう。日本政府が直面するさまざまなリスクは、われわれの格付けスコアを十分正当化するようだ」と結論付けている。

日本と同様に、ドイツ、ブラジル、フランス、イタリアもまた、フィージビリティースタディーの一環として調査された。全体的評価の中で、ドイツはこの中立的な格付け機関から8.1の信用格付けを与えられた。この格付けは伝統的な格付け機関の格付け基準で最高ランクの一つ(AAA Negative Outlook)に相当する。従って、ドイツはユーロ圏全体の中で、これまでのところ最もうまく危機を乗り越えている。しかしリスクは特に3つの分野で現れている。それはドイツが欧州近隣国のために被った負債、80%を上回るドイツ政府の高い債務、その好ましくない人口動態変化である。フランスはドイツに次いで7.9(もしくはAA+)の最善の信用格付けを受け、イタリアは7.2(AA-相当)と続いている。報告書はブラジルの信用度を6.8(A+)、日本は6.0(A-)と評価している。

イタリアに関して、このモデルを使ったスコアは有力格付け機関のそれとかなり異なり、同国についてより前向きの評価を与えている。これは部分的にはイタリアの危機管理能力の結果である。フランスのスコアは、定年退職年齢の引き下げなどオランド大統領の改革、同国の債務負担増がスコアの低下につながりうるが、なお堅調である。ブラジルの発展状況もまたモニターされている。ブラジルでは成長率の低下を止めるために教育と社会基盤への緊急投資が行われるべきである。

ベルテルスマン財団が公表したソブリン格付けは、中立的なソブリン格付けシステムに対するフィージビリティースタディーの第二段階である。このシステムに対する財団の意図は、ムーディーズ、フィッチ、スタンダード&プアーズなど、伝統的な格付け機関の代替となることである。これらの格付け機関は、その格付けが国際金融およびユーロ圏危機とのからみで強い批判を浴びている。ベルテルスマン財団は、この中立的なソブリン格付けシステムに最も重要な利点があるとみており、その理由は、伝統的なマクロ経済データに加えて対象の国の社会経済開発を考慮することによって、評価の質が高まっているためである。このシステムはまた、可能な限り最高の透明性を確保することにある。システムの計算基盤はすべて一般に公開され、包括的であり、「Rating Radar(レーティング・レーダー)」の導入によってスコアを理解しやすくするよう設計されている。レーダーはある国のマクロ経済と社会経済的な強みと弱さがどの分野にあるかを一覧で表示する。

ベルリンで公表されたソブリン格付けは、ベルテルスマン財団が4月に導入したINCRAコンセプトによる実践的試みである。財団自体は中立的な格付け機関を設立することは目指していない。有力な先進国と新興諸国の集団であるG20などの組織は、中立的な格付け機関の設立について論議を進めるべきあるというのが当財団の見解である。


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