FDAに販売認可申請、小児用13価肺炎球菌ワクチン
【カレッジビル(米ペンシルベニア州)1日PRN=共同JBN】ワイス(NYSE:WYE)の1部門であるワイス・ファーマシューティカルズ(Wyeth Pharmaceuticals)は1日、13価結合型肺炎球菌ワクチン(ジフテリアCRM(197)タンパク質)の「プレブナー13(商標)」について生物学的製剤認可申請(BLA)を米食品医薬品局(FDA)に申請したと発表した。FDAは昨年、医療上の必要が満たされていない深刻な病気、生命を脅かす恐れのある病気に対応する製品の審査を容易にするためのファストトラック指定をプレブナー13に与えている。
プレブナー13は、世界各地でワクチンによって予防できる主要な死因である肺炎球菌症(PD)に関係する13種の最も一般的な血清型から保護することを目指している。これらの血清型のうち7種(4、6B、9V、14、18C、19F、23F)は、小児の肺炎球菌症予防の現在の世界標準である7価結合型肺炎球菌ワクチン(ジフテリアCRM(197)タンパク質)の「プレブナー(登録商標)」に含まれている。追加された6種の血清型(1、3、5、6A、7F、19A)は残留型の侵襲性疾患という最大の重荷に関わるものである。プレブナー13もプレブナーもCRM(197)-免疫学的輸送タンパク質で、小児ワクチンで20年にわたる使用の歴史がある-を使っている。
ワイス・ファーマシューティカルズのエミリオ・エミーニ執行副社長(ワクチン研究開発担当)は「このマイルストーンで小児へのプレブナー提供に一歩近づいたのはうれしい。現在使用できるワクチンのプレブナーは臨床効能が実証され、効果が文書化されており、そのために公共保健に大きな影響をもたらしている。プレブナーの科学的基礎を利用したプレブナー13が承認されれば、米国や世界各地で深刻な公共保健の脅威になっている19A血清型を含め、肺炎球菌症に関係する最も一般的な13種の肺炎球菌血清型をカバーすることになる」と語っている。
プレブナー13に関するFDAへの提出文書には7000人以上の小児を対象にした13の第3相研究のデータが含まれている。同社は2008年末に小児に関する世界的な研究を開始し、これまでに世界の40カ国以上で13価ワクチン候補について規制上必要な申請を行った。またプレブナー13は成人を対象とする世界的な第3相臨床試験も行われており、2010年に規制上の申請を提出する見込みである。
▽肺炎球菌症
肺炎球菌症は複雑な病気で、いずれも肺炎連鎖球菌で起こる病気のグループを指す。子どもも成人もかかる病気で、菌血症/敗血症、髄膜炎や肺炎、中耳炎などの侵襲性の感染症を含む。
米国で通常の小児の予防接種計画にプレブナーが加えられてからは、2005年までに5歳以下の小児で認可前の基準に比べワクチンにあるタイプのIPD(侵襲性肺炎球菌症)が98%(95% CI:97%-99%)減少し、すべてのIPDが77%減少した。さらに、ワクチンを受けなかった50歳以上の成人グループで7種の結合型ワクチン血清型で起こった病例が55%減少した(95% CI:51%-58%)。疾病管理予防センターは5歳以下の小児と40歳以上の成人でワクチンにない血清型によるIPDの病例が増加したことを報告しているが、これらの効果がほかのグループでも観察されたかどうかは明らかでない。
最近、ワクチン候補に含まれている血清型19Aによる発病が世界の多くの地域で増大しており、しばしば抗生物質に耐性を示示している。実際、血清型19Aは米国で最も多い侵襲性肺炎球菌血清型となっている。
▽適応
7価結合型肺炎球菌ワクチン(ジフテリアCRM(197)タンパク質)のプレブナーはワクチンに含まれている7種の血清型で起こる菌血症(血液の感染症)、髄膜炎(脳と脊髄周辺の膜の感染症)など肺炎連鎖球菌で起こる深刻な侵襲性疾患に対する小児の能動的免疫確立を適応としている。ワクチンに含まれている肺炎連鎖球菌の7種の血清型(菌株)(4、6B、9V、14、18C、19F、23F)は、プレブナーの導入前には小児の深刻な病気を最も多く起こした菌株である。通常のワクチン接種時期は生後2、4、6、12、15カ月である。
プレブナーはワクチンに含まれている7種の血清型で起こる中耳炎に対する小児の免疫確立も適応としている。中耳炎に対する保護は侵襲性疾患に対する保護よりも小さいとみられている。
ほかのワクチンと同様に、プレブナーはワクチンを受けたすべての人を肺炎連鎖球菌で起こる侵襲性の病気から守るわけではない。このワクチンは進行中の感染症の治療に使ってはならない。
▽プレブナーの重要な安全性情報
臨床研究で最も多く報告された悪性事象は注射個所の反応、熱(38度C以上)、いらいら、眠気、眠りの浅さ、食欲減退、おう吐、下痢、発疹などだった。
プレブナーを含むすべてのワクチンにリスクは伴う。ジフテリア・トキソイドを含むワクチン成分に対して過敏性がある場合は使用禁忌である。プレブナーはワクチンを受けた小児の100%を保護するものではない。プレブナーによる免疫は通常のジフテリア免疫に代わるものではない。
▽ワイス・ファーマシューティカルズ
ワイスの1部門であるワイス・ファーマシューティカルズは女性の健康ケア、感染症、胃腸の健康、中枢神経系、炎症、移植、血友病、腫瘍、ワクチン、栄養製品の分野で有力な製品を持っている。
ワイスは世界最大の研究主導の医薬品、健康ケア製品会社の1つである。世界中のひとびとの生活の質を向上させる医薬品、ワクチン、バイオテクノロジー製品、栄養剤、非処方薬の発見、開発、製造、販売のリーダーである。同社の主要部門はワイス・ファーマシューティカルズ、ワイス・コンシューマー・ヘルスケア、フォートダッジ・アニマル・ヘルスなど。
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- [国際情報]FDAに販売認可申請、小児用13価肺炎球菌ワクチン 2009/04/02 木曜日