現在位置: HOME > コラム > 小池安雲の色の魅力 > 記事


小池安雲の色の魅力

第91章

 突然ですが、本はお好きですか? 私は好きです。本とひとくちに言っても、小説から実用書・エッセイ・漫画などさまざまな種類がありますが、私はジャンルを問わずに本を読むいわゆる「雑食系」で、かつては本好きが高じて5年ほど書店に勤めました。もう書店から離れて20年近く経ちますが(年齢がバレますね)、今でも本は好きで、時間があればつい書店に立ち寄ります。
 
 話題の本や新刊コーナーを見ていて最近気になるのは、タイトルの傾向です。「○○すれば成功する」「健康になりたければ○○するな」など、断定的な言葉で綴られている成功本が多くなってきました。スピードが求められるご時世、端的で力強い説得力のある言葉が求められているのかもしれません。では、説得力のある言葉とは、いったいどういうものなのでしょうか。

 先日読んだ本「読みたいことを、書けばいい。」(ダイヤモンド社刊・田中泰延著)では、「結論の重さは過程に支えられる」とありました。しっかりした過程に基づく結論は説得力がある、と言われると、なるほどと思います。
 
 この言葉に基づくと、説得力のある言葉を象徴する色はマゼンタ(赤めの紫)です。バイオレットはレッドとブルーの混色なので、マゼンタは多めのレッドと少なめのブルーで構成されています。レッドは行動と現実、実践の色です。実行する過程の、ひとつひとつの行動がこれにあたります。ブルーは感性や心情、表現の色。行動した際の体感や気持ちを表現することです。これらが組み合わさると、“行動や実践で得たり、感じたりしたことを、自分の言葉で伝えていく”という意味になります。

 さらに、マゼンタは行動のレッドが多いため、“行動をし続けていく”という継続の意味が強まります。説得力のある言葉とは、行動と発信をし続けてきた人たちが実現できる、一朝一夕ではかなわない長い年月をかけた宝物なんですね。行動だけでもダメで、素直ではない言葉は通じない。説得力とはあくまでも、実践と正直の組合せが大切なようです。

 ちょうどもうすぐ参議院選挙の投票日。候補者の演説も、マゼンタの視点で見てみると、また新たな発見があるかもしれません。

 ここでいつものワンポイントアドバイス。マゼンタは経験豊富な印象をもたらす色なので、迫力や重厚感を与えたい場合には良いですが、フレッシュさはまったくありません。若々しく見せたいときは、使わないようにご注意あれ!


2019年7月17日付・第2478号紙面より


バックナンバー

購読のご案内

取材依頼・プレスリリース

注目のニュース
最新の産業ニュース
写真ニュース

最新の写真30件を表示する