小池安雲の色の魅力
第78章
梅雨の季節になりました。毎年この時期になると雨靴やレインコートを買おうと思うのですが、悩んでいるうちにいつも梅雨があけてしまいます。
外は雨、TVをつければ悲惨なニュース、大好きなサッカーもW杯を前にドタバタ劇…と、最近は気持ちも雨模様になりがちな毎日です。私は現在、渋谷・東急本店で6月21日から行われるキャンドル展示会に向けての準備に追われているのですが、こちらも制作のスランプに陥っています。いいことも悪いことも平均的に訪れてくれれば良いのですが、そう上手くはいきません。
色彩心理の世界では、陰(ネガティブ)と陽(ポジティブ)は元々同じものです。死があって生が成り立つように、陰があって陽があります。それぞれが、もう一方を存在させる対の存在です。陰と陽は光と影、色は白と黒で表されます。
白と黒は、希望にもなれば絶望にもなる色です。ショックな出来事があったときに「頭が真っ白になる」「目の前が真っ暗になる」と表現しますね。これは絶望の見方です。まぶしかったり真っ暗だったりと、周りの景色が見えない状態になってしまう。こういうときは、ショックが落ち着くまで休息を取ることが大切。よく「ビタミンカラーを身に着けると元気になる!」と言いますが、カラーが消えてモノクロの世界になったときに無理やりビタミンカラーを身に着けるのは、寝込んで起き上がることすらできない状態の人に焼肉を食べさせるようなもの。ビタミンカラーを使うと元気になるのは本当ですが、使うタイミングが重要です。色を取り戻したいときは淡い色から取り入れて、だんだんカラフルにしていきましょう。
このように書くと「白と黒は大変な色なんだ」と思われがちですが、この二色は希望とセットです。闇があるからこそ光が差し込む場所がわかります。闇は光を探すヒントになるのです。黒はすべての色を含むデータの宝庫、白は何色にも染まっていない未知なる可能性。何かショックな出来事があったときほど、そこに何があって(黒)、これからどうすれば良いのか(白)を考えましょう。その思考が、新たな光をもたらします。
ここでいつものワンポイントアドバイス。白も黒もまっさらな希望の色ですが、特徴がないとも言えます。可能性をアピールしようとして何も印象に残らない…ということが無いように、ワンポイントでいいのでモノクロ以外の色味を入れるのをお忘れなきよう、ご注意あれ!
2018年6月17日付・第2439号紙面より