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小池安雲の色の魅力

第72章

 2017年もあとわずか! 年内にできるだけ作業を終えたいとお考えの方も多いですよね。私はタスクの山を前にして、すでに年内の終了を諦めて来年の自分に期待しつつ(?)あります。年末年始など、時の切り替わる時期になると「やるからやらないか」「残すか残さないか」など、選択が必要になってくることが多いように感じますね。

 今年、2017年のサイクルの色はレッドでした。非常に熱く、勢いがあり、意思がはっきりしている色です。やる・やらないという選択のスピードが早まったり、意思決定を確認するスピードを求められたりすることが多かったかもしれません。ある種の強引さのようなものも感じられます。

 強引さが強まると何が起こるのかというと、反発や怒りが生まれます。反応が早くなるということは脊髄反射のように怒りも生まれやすくなるため、良くも悪くも感情のスピードが増したと言えるでしょう。

 成長という良い意味でのスピードアップは望ましいですが、怒りのスピードアップは困りますよね。そこで必要になるのが、グレーの存在です。

 年末になると整理や片づけをしますが、一朝一夕ではおさまらないものもあります。「白黒はっきりさせる」という状況において、白と黒の間にはグレーもあるのです。決断に例えるなら、「やる」「やらない」のあいだに「今は決められない」という状態もある。物事を片付ける時に、白や黒でラベル付けをするのも良いですが、グレーのものを無理やり白か黒に分類するのはやめましょう。いったんラベルが貼られてしまうと、それまでグレーだった経緯を他者が認識しづらくなるとともに、曖昧だったことすらも忘れられがちになります。

 物事をはっきりさせるために必要なのは白黒のラベルわけではなく、グレーのなかにも暗いグレーや濃いグレーなど、さまざまな色調があるということを明確に知ることです。その、曖昧さをしっかりと把握することが明晰性となってわかりやすさを確立し、のちのち強いスピードアップにつながるかもしれません。よくわからないものを理解することが、来年を迎えるにあたって波にのるヒントにつながります。

 ここで、いつものワンポイントアドバイス。グレーは、その柔らかさゆえに上品さや優しさを表現します。しかし、優しく見せたいからと言ってグレーばかり使っていると、その優しさゆえに印象に残らなくなってしまうのでご注意あれ。

 みなさま、良いお年をお迎えください!


2017年12月17日付・第2421号紙面より


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