小池安雲の色の魅力
第8章
みなさまこんにちは。夏ですね、暑いですね! 子供のころ、炎天下のなか毎日外で遊んでいたのが嘘のように、涼しい場所を選んで移動している安雲です。暑いのは苦手ですが、色が鮮やかに見える夏は好きな季節です。ほかの季節に比べ夏休みがあるからか、夏の記憶はひときわ鮮明に蘇ります。トンボや蝶、蝉、カブトムシ。かき氷、スイカ、プール、ビーチサンダル、蚊取り線香、花火……。
そして今年の夏の思い出には、ロンドンオリンピックが加わりました。選手たちの素晴らしい活躍を目に焼き付けようと、寝不足になった方も多いのではないでしょうか。かくいう私もその一人です。選手みんなが金メダルを目指して一生懸命に闘っている姿に感銘を受けました。金メダルは、それが世界の頂点に立った証だから欲しいという理由がもちろん一番だと思いますが、あのキラキラとした輝きも魅力的ですよね。
今回は「金色」についてお話したいと思います。
金色といえば、まず思い浮かぶのは金メダルや金塊に例えられるゴールドでしょう。ゴールドは、輝いていて、高価で、高品質で、その価値は不変です。ですから、「価値があるもの」「人気者」「成功」という意味があります。金色はまさに、栄光の証なのです。お財布を黄色にすると金運がアップするなんていう話もよく聞きますよね。人気者になりたいときや褒められたいときに金色を身に着けたり、上質に見せたい物を金色のリボンで包んだり、叶えたい夢を書いた紙を金色の封筒に入れておくなど、様々なシチュエーションで金色は役に立ちます。
そして、ゴールドの価値は物質のことだけに留まりません。卑金属を貴金属に変える錬金術の探究は、古来より多くの技術や哲学の発展に貢献してきました。
「結果的にゴールドを得られなくても、そのプロセスこそがゴールドに値する」
すなわち、長年鍛錬を重ねてオリンピックに出場したすべての選手たちが金メダルに値するということです。ゴールドを手に入れて豊かになることを目指すのはもちろん、目指すプロセスこそに意義があるということを忘れずに日々精進していきたいですね。
余談ですが、知り合いのお嬢さんが「金塊」の文字を金の魂(きんのたましい)だと勘違いしていたらしく、乙女にあるまじき四文字で読んでいたと聞いて腹を抱えて笑ってしまいました。場を明るくさせるというのも、金色が持つ大切な意味のひとつですよ!
2012年8月17日付・第2229号紙面より