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小池安雲の色の魅力

第59章

 これまでの社会情勢を思い出すのが難しくなるほど、今月は色々なことが起こりますね。「まさか」「予想しなかった」「驚きの」という言葉をこれほど頻繁に見ることになるとは想像すらしませんでした。先月のコラムで書いたグリーンの「信頼」という言葉をもう一度深く見直さなければいけないような、安全性に強く関わる事故も起きています。キャンドルの制作やイベント出展に携わる身としては特に人ごとではありません。改めて、安全について見直すときなのだなと感じています。

 そもそも、安全や安心の正体とは一体何でしょうか?

 これは、安全を意味するグリーンにヒントがありそうです。グリーンは安心の色であると同時に、継続や基盤という意味があります。たしかに、土台や組織がしっかりしていたり、長年継続していたりすると信頼感が増して安心しますよね。また、グリーンには正確さや客観性という意味もあります。多くもなく少なくもなく、ただ正確であること。そして視野が広く、世間や場の状況を客観的に把握できることがグリーンの持ち味です。

 ただ、物事には表と裏があるように、このキーワードにも信頼を覆すメッセージがあります。すなわち、しっかりしていそうなものや長く続いているものは、安全だと思い込みやすいということ。大きな会社が関わっていたり、実績があるものだと、つい「大丈夫だろう」と思ってしまうことはありませんか? また、グリーンの客観性は常識を重んじます。常識とは、みんなが共通して持っていると思われる知識や思慮分別のこと。「普通はこんなことをしないだろう」という思い込みが、いつの間にか危険を近づけている可能性もあるのです。

 昔、「百年の恋」というドラマがありました。年収6000万円のキャリアウーマンと主夫のお話なのですが、家事がまったくできない妻に「そんなことも知らないのか!」と夫が文句を言うと、「じゃあ、あなたは昨日の平均株価を知ってるの?」と妻が応酬する場面があります。シャーロックホームズでも、家の階段の段数を知らないというワトソンに「毎日上り下りするのに知らないのか」と言う一幕も。人によって“当たり前”が異なる、だからこそ当たり前をもう一度見直してみる。現状の確認こそが、安全への第一歩かもしれません。

 ここでいつものワンポイントアドバイス。グリーンはマイペースの色でもあります。安全を目指すつもりが、いつの間にか自己流になっていないかどうか、ご注意あれ!


2016年11月17日付・第2382号紙面より


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