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小池安雲の色の魅力

第55章

 梅雨で不安定な空のなか、時折訪れる強い日差しに本格的な夏を感じるようになりました。ニュースを見てみれば世界の情勢が大きく動いていて、移ろいやすい空のように先行きが予測できない時代になっているようです。変化は水に例えられますが、この流れの早い水のなかをどう泳いでいくのか、改めて問いかけられているような気がいたしますね。

 ルネッサンス時代に、マクロコスモスとミクロコスモスという、大いなる宇宙と小さな宇宙は関連しているという考え方が生まれましたが、世界と個人も同じように影響し合っているのかなと改めて感じます。最近出会う人たちの多くが「自分はこう生きていきたい!」と、他人任せではない人生を選択するタイミングに来ていて、だから大いなる世界も活発で流動的になっているのかなと思ったりするのです。しかし、自分の人生を決断するときに忘れてはならないのは“周囲との融合“です。私たちは一人では生きられないので、友人、家族、地域、会社、社会との共存も大切な要素のひとつ。自分の意志を突き通すことと、社会との共存。この、一見相反する2つのエネルギーをうまく融合させるにはいったいどうしたら良いのでしょうか。

 正反対の色である“補色”の関係で見てみると、個の存在や強い情熱を表し「私はこうしたい」と示す色はレッドです。かたや、客観性や協調性、安全性を表し「みんなで幸せになろう」というのは補色であるグリーン。補色は補い合うという性質を持っているので、レッドの情熱を押し通すときほど必要なのはグリーンということになります。グリーンは、冷静な感情であるブルーと明晰な分析力であるイエローの混色で、この2つの要素が合わさることにより正確な把握や客観性というグリーンのエネルギーが生まれるのです。

 グリーンのように広い視野を持ちつつ、個人ではレッドのように意志を持って生きる。それが一番バランスのとれた生き方なのだと色が教えてくれます。まずは自分自身がしっかりと生きつつ周囲と調和しながら、幸せとは何かを感じていきたいですね。

 ここでいつものワンポイントアドバイス。補色は自分にないものを補うことができるので、情熱を求める人にはレッドがオススメ。ですが、レッドを見ている人にも情熱のエネルギーは影響するため、怒りっぽい人に会うときにレッドの服を着ていると逆効果になる可能性も。物事を穏便に運びたい時はレッドを使わないようにご注意あれ!


2016年7月17日付・第2370号紙面より


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