小池安雲の色の魅力
第５４章
梅雨に入りました。じめじめするし洗濯物が乾かないし…と以前はまったく好きではなかった梅雨ですが、最近になって急に好きになりました。というのも、雨が降ると植物がよく育つからです。庭のある家に越してからはすっかりガーデニングが趣味になったのですが、植木屋さんによると、梅雨の時期は芝が大きく伸びるのだとか。そう聞いてからは、雨が降るのを心待ちにするようになりました。環境が変わるだけで、こうも梅雨が好きになるとは！ 驚きです。
人間は環境に影響されやすい生き物だと言われています。心理学者によると、与えられた環境や役割によって人格が大きく変化するという実験結果が出ています。環境の変化によって価値観が変わるのはよくあることなのですね。より良い人生を送るためには、環境づくりが非常に大切とも言えます。
では、影響力を意味する色というのはあるのでしょうか。色彩心理の観点から言うと、目にした色がそのまま心理に反映します。例えば、赤い部屋で過ごす人は活発になりますし、青い部屋で過ごす人は精神的な落ち着きを得ます。もちろん影響の強弱によっても結果が変わるので、長時間にわたって赤を見続ければ強すぎる力に疲れてしまうかもしれませんし、青ばかりを見ていると落ち着きを通り越して落ち込んでしまうかもしれません。では、影響力そのものを表す色は何かと言うとターコイズ（青緑）です。ターコイズはイエローとブルーの混色で、価値観と感情の融合を意味します。物事の良し悪しを考えるのは理性のイエローですが、そこに感情のブルーが加わるとターコイズになり、価値観（イエロー）が流動（ブルー）し変化（ターコーズ）するのです。また、ターコイズは水に近い色なので、水のように広く大きく広がりつつ過去を洗い流します。ターコイズ色を最近よく目にするようになったという方は、大きな変化のタイミングにいると言えるでしょう。
ターコイズはとても純粋な色なので、物事に対して柔軟に対応できるのが持ち味です。人生の変わり目は予測しきれないことが起こるもの。良い変化だと感じた時には、ターコイズの力を借りて積極的に新しい世界へ飛び込みましょう。
ここでいつものワンポイントアドバイス。ターコイズは男女ともに受け入れられやすい色です。とはいえ誰にでも好かれたいからと言って柔軟性のあるターコイズばかりを用いると、捉えどころのない人だと思われてしまいますのでご注意あれ！
２０１６年６月１７日付・第２３６７号紙面より
