小池安雲の色の魅力
第46章
食欲の秋ですね。季節に関係なく食欲旺盛ではありますが、さらに食欲がそそられる季節がやってまいりました。近くのスーパーの産直野菜コーナーには里芋やつるむらさきなどの旬の野菜が並び始め、隣家の庭には柿がたわわに実っています。風情を感じるいい眺めです。あのオレンジ色に色づいた柿の実を見ていると、じんわりと温かな気持ちになってきます。柿がお嫌いでなかったら、みなさん同じような感覚を持たれるのではないでしょうか。というのも、オレンジ色は幸せや楽しさを表す色だからです。
最近、ふと「幸せとは何だろう?」と思うことがあり、改めて意味を調べてみました。幸せとは“幸運に恵まれていて、心が満ち足りること”だそうです。 容器に例えると、容器が満たされている状態が幸せということになります。 “たくさん注げば注ぐほど、満たされて幸福に近づくはず”。誰もがそう思い、愛やお金を手に入れるために努力をします。私もその一人です。しかし、先日興味深い話を聞きました。
ひとつ、質問です。「何に使うかは決まっていませんが、とりあえずお金をたくさんください」と頼まれたら、あなたはどうしますか? お金を渡しますか? それとも断りますか? 少なくとも、二つ返事でお金を渡す方はあまりいないのではないでしょうか。そう、“使い道のわからない人にエネルギーは入ってこない”。これが先日聞いた話です。使い道のない人にはお金が入ってこないし、夢のない人には応援する人も現れない。当たり前なようでいて、目から鱗が落ちました。ただ漠然と「宝くじが当たったら何をしようかな」と考えていた私にとっては耳の痛い内容です。
実はオレンジは“受け取る”という意味を持つ色。まさに容器そのものです。自分のことを思い返すと、「たくさん欲しい」と言いながら容器の口は閉じたままだったような気がしますし、容器を満たすために必要な容量すら知りませんでした。もっと言うなら、欲を満たすことにばかりに目を向けていて容器のメンテナンスを怠っていたので、ひょっとしたら穴が開いているかもしれません。受け取るには、現状と目的を知ることが大事。まずは容器を点検するところから、幸せを考えてみたいと思います。
ここで、いつものワンポイントアドバイス。オレンジは幸福の色ですが、食欲を刺激する色でもあります。幸せを増やすつもりが体重まで…なんてことにならないよう、くれぐれも食べ過ぎにはご注意あれ!
2015年10月17日付・第2343号紙面より