小池安雲の色の魅力
第26章
みなさま、寒い日が続いておりますがいかがお過ごしですか? 先日の東京は珍しく雪が降り積もりました。窓を開けると、外一面は真っ白な世界! すべてが白く覆われた風景は何だか荘厳な感じがいたします。晴れているわけではないけれどとても明るくて、白が持つ強い力を再確認させられました。
その明るさに惹かれたのか、子供から大人までもが外に出て雪だるまを作ったり散歩をしたりして楽しんでいる光景がみられました。この、無邪気になれる感じもまた雪の良さですよね。
たとえば雪がもし白ではなく赤や青だったら?と考えると、かなり異なる印象を持たれるだろうと思います。白だからこそ無邪気な気持ちになれるのでしょう。色は心理に大きな影響を与える…と言いますが、白はいったい私たちにどんな力をもたらすのでしょうか。
白は、純粋さを表します。純粋ということは、混じり気がないということ。色彩心理では、白と透明はほぼ同義です。どこまでも透き通っていて穢れのない色は、そんな純粋だったころの気持ちである「無邪気さ」を思い出させてくれます。さらに、穢れがないということは触れて安心だということ。もし雪が黒だったら、汚れることを気にしてあまり遊んだりはしないでしょう。
また、白は浄化の色でもあります。お浄めの水は透明ですし、塩は白です。雪のなかにたたずむと、気持ちがキリリとクリアになるのはこのためです。「最近もやもやするなあ」と感じる方は是非、白を積極的に取り入れてみてください。心が浄化されてスッキリするのと同時に、純粋な気持ちを思い出させてくれます。白は、その混じりけのなさから美しく清潔な印象を与えます。雪が降ると雑多な街並みでも美しく見えるのは、色が統一されたことに加えて白の影響がとても大きいのです。清廉潔白で美しい自分を演出するのにも、白はピッタリの色と言えます。
しかしここで、いつものワンポイントアドバイス。白を取り入れるうえでひとつ気をつけるべきことは、その「透明さ」です。色味がないということは、個性がないということ。清潔感や純粋さをアピールしようと思ってすべてを白にしてしまうと、「綺麗さ」だけしか印象に残らず覚えてもらうことができません。白はすべてをリセットする力強さを持ちますが、リセットされただけでは物事は動かないのです。白を多く使う時は、自分の好きな色やラッキーカラーをワンポイント取り入れて、個性を印象付けてくださいね!
2014年2月17日付・第2283号紙面より