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小池安雲の色の魅力

第148章

 新年度になりました。知人の子供の入学式の写真などを見て「そんなころもあったなあ」と懐かしく感じるはずが、当時をあまり思い出せません。具体的な記憶はすっかり抜け落ちてしまいましたが、学校という未知のコミュニティに入る際の、期待と不安が入り混じって汗をかくような感覚だけは不思議と覚えています。大人になってからは冷や汗をかくことの方が多くなって、あのころのようなときめきと不安を同時に味わうことは少なくなりました。それは機会がないというよりも、自身が次第に保守的になってしまったせいもあるのでしょう。自分の求めるものがわかってくると、心地の良い環境を築ける半面、危険を回避しようとして無難な選択をしがちです。面倒なことをしたくない、合わない人との関係に悩まされたくない、損をしたくない…。挑戦している人を眩しく思う反面、自分のことになると、つい腰が引けてしまいます。新しい世界に強引に引き込まれない限りは、なかなか大胆な挑戦はしづらいものです。

 しかし、無難な状態を続けていても成長はありません。実はコロナ禍以降、なかなか売上が上がらないのですが、「コロナもあったし」「景気も悪いし」「モノを買わない人が増えたし」と理由をつけていたらますます厳しくなりました。いえ、この間にも「もっとお客様の喜ぶことをしよう」という努力を続けてきたのですが、うまく実を結ばなかったのです。そこでハッと気づいたのは、あらゆるものを他者の視点で考えていたという事実でした。社会が、景気が、お客様が…と、自分でコントロールができないことに対して頭を悩ませてもうまくいきませんよね。今ここで、主軸を自分自身に戻さねばなりません。
 自分を中心に据える色はレッドです。強い意志と行動力で、物事を動かします。周りを窺いながら進むのではなく、自ら進むことで周りが動くという仕組みです。私はこの、“率先して動く”という気概をすっかり失っておりました。レッドは未知なるものへの挑戦の色でもあります。今まさに、情熱に汗をかくタイミングが来ているようです。動いて汗をかき、ドキドキの汗もかく。おりしも新年度となったこの時期、原点を忘れずに、ともにいい汗をかいていきましょう。

ここでいつものワンポイントアドバイス。レッドは熱意を伝える色ですが、強引すぎると火傷の危険性があります。危険な熱さにならないよう、くれぐれも使い過ぎにはご注意あれ!


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