小池安雲の色の魅力
第147章
卒業のシーズンになりました。お友達やお客様が今、ぞくぞくと定年を迎えています。「これからは好きなことをやる!」「隠居生活を楽しむ」「これまでとは異なる仕事がしたい」「叶えられなかった夢を叶えたい」など、ますます元気になっている彼らを見て、年を重ねるのって素敵だなと感じているところです。
令和四年の簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.05年、女性の平均寿命は87.09年だそうです。平均余命(その年齢時点において、あと何年生きられるかの期待値)で見てみると、60歳時点での男性の平均余命は23.59歳、女性は28.84歳。私は今年50歳で平均余命は38.16年になるため、計算上は88歳まで生きる可能性が高いです。あくまでも平均ですので、もっと長い可能性も充分にあり得ます。60歳からの平均余命である28年という時間で考えてみると、サッカー選手は28歳であればベテランですし、ウイスキーであれば数十万から百万を越えたプレミアがつきます。そう考えると、これからの可能性を感じますね。
しかし、なかには「そんなに長く生きたくない」とおっしゃる方もいます。よくよく話を聞いてみると、その真意は「だらだら生きていたくない」ということのよう。たしかに、数十年という数字として見ると「長いな」と感じてしまいますよね。時間を長く感じるのはなぜかという心理学の文献によると、時間の経過に注意を向ける頻度が高いほどより時間が長く感じられるそうです。暇なときほど何度も時計を見ては「まだ5分しか経っていない」なんて感じるのはそのせいですね。
時間を表す色はグリーンで、木がシンボルです。大木になるまでに長い年月がかかることを思うと、この意味も頷けます。しかし、木自身は、成長の年月を数えてうんざりしているわけではないでしょう。グリーンを構成する色を見てみると、好奇心のイエローと没頭のブルーがあります。好きなことや興味を抱いていることに夢中になっているうちに、いつしか時間が経っていたという体験は誰しも覚えがあるはず。あの感覚がグリーンの時間を重ねています。先のことを考えて疲れてしまったときには木を眺めて、今を充実させることを思い出してくださいね。
ここでいつものワンポイントアドバイス。グリーンは時間をかけたものを愛するため、長く付き合ったものを手放したがらない傾向にあります。物をため込み過ぎないよう、使い過ぎにはご注意あれ!