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小池安雲の色の魅力

第16章

 春の嵐が過ぎたら、暖かくなりましたね。新年度である四月、環境が変わられた方も多いと思います。みなさま、いかがお過ごしですか?

 私は四月になっても「あまり変わらないわ」と気楽に構えていたところ、実は常に変化していたという事実を知りました。「生物と無生物のあいだ」などのベストセラーで知られる、生物学者の福岡伸一さんの講演を聞きに行ったのです。
福岡さんは“生物の動的平衡”を説いており、細胞は常に生まれ変わって私たちの肉体を平衡に保っているという著書を数多く出版されています。食物を食べたら栄養になり要らない分は排泄されるという単純な構造しか知らなかった私にとって、『排泄物は自らの死んだ細胞たちで、私たちの身体は常に新しい細胞に生まれ変わっている』というお話はなかなか衝撃的でした。体に良い食物ばかりを摂取していれば、数年後には絶世の美女に生まれ変わっているかもしれない(!?)という期待すら抱いてしまいます。遺伝子が関係しているのでそんな簡単にはいかないのですが。

 遺伝子と言えば、福岡さんの「遺伝子はダメなあなたを愛してる(朝日新聞出版)」という本のなかで、数字や色の意味を連想させる一文に出会いました。炭素のお話です。
 炭素は元々、宇宙に単体で存在している“孤独を好む元素”なのだそうです。一人でいたい元素同士を繋ぐには、当然多くの労力が必要になります。すなわち、炭素がたくさんくっついている物質は、繋ぐための労力がたくさんこめられたエネルギー体と言えるのだとか。エネルギーと聞いて思い浮かぶ灯油やガソリン・食物などはどれも炭素が繋がった物質だと知り、「なるほど!」と納得しました。

 繋がることでエネルギーがたまるなんて、ロマンを感じますね。愛ですね!

 では“孤独を好む”要素を持つ数字は何番でしょう? 答えは“3”です。3は単独行動が大好きな数。しかし、そんな自由人である3がくっついて“(3+3=)6”になると“保守・家族”という意味に大変身します。炭素が繋がりエネルギーを蓄える流れに似ていませんか?
炭素に蓄えられたエネルギーは、繫がりが切れると放出されます。実は3には“子供”という意味もあるのです。孤独な炭素が出会ってくっつき、溜めたエネルギーを放出する流れを見ていると、男女が出会って家庭を持ち子供が巣立っていく姿に重なります。3の色はイエロー。希望の色です。

エネルギーと子供は希望の光、ですネ!


2013年4月17日付・第2253号紙面より


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