現在位置: HOME > コラム > 小池安雲の色の魅力 > 記事


小池安雲の色の魅力

第131章

先日までキャンドルの催事で渋谷東急本店に出展していたのですが、会期中はちょうどハロウィンの真っ最中! 渋谷の街は仮装した人たちと警察で溢れていました。街で大騒ぎするのは迷惑だし危ないという意見がありつつ、お祭りのように楽しく気分を発散できる機会が必要だという意見もあり、とても考えさせられました。現代はSNSが発達しているために誰もが自己表現できる環境が整ってはいますが、発信が果たして発散になっているのかというとそうでもないように思います。SNS上とリアルな自分とのギャップに苦しんだり、目にする情報が増えてしまったためにストレスを抱えたりして、ネットから離れる人が周囲に増えました。では、そういう方が今どうやってストレス解消や自己表現をしているのかというと、ごく身近で信頼できる人たちに向けたコミュニケーションをとっています。SNSやYouTubeなどのオープンなネット文化がなくなることはないと思いますが、会員制のオンラインサロンが一般化したように、これからは“共感する人たちと、より深いつながりをもっていく”時代に突入する予感がします。

クローズドな場で、より深いコミュニケーションを築いていく色はバイオレットです。量よりも質を重視し、その密度や濃度によって満足感を得ます。自分好みのものを探求して、より満足度を上げていく。それは素敵なことなのですが、その幸せを手に入れる前提として「自分が好きなものは何か」「自分はいったい何を求めているのか」を知っている必要があります。まさに今、お客様のご相談で多いのは「好きなことがわからない」というお悩みです。お話を伺っていると、昔から好きなことがなかったわけではなく、「親に反対された」という否定された経験や「誰かに何か言われたらどうしよう」という批判への恐怖から、好きなことがわからなくなったというケースが多いです。だからこそ、自分を認めてくれる人にだけ自己開示をしていくという流れになっているのかもしれません。身近な人に何かを打ち明けられたときに頭ごなしに否定するのではなくて、まずは話を聞いていくという姿勢が、いずれ社会全体の穏やかさにつながると良いなと願っています。

ここでいつものワンポイントアドバイス。バイオレットは好きを極める色ですが、没頭しすぎて好きなこと以外は目に入らなくなってしまうという可能性も。くれぐれも、使いすぎにはご注意あれ!


バックナンバー

購読のご案内

取材依頼・プレスリリース

注目のニュース
最新の産業ニュース
写真ニュース

最新の写真30件を表示する