小池安雲の色の魅力
第124章
4月になりました。入学や入社、新年度の時期ですね。私はフリーになって干支が一回りしたのですが、当初よりも格段に悩みが増えていることに気がつきました。いつも通りに出来ていても成長していないように感じてしまったり、このままで良いのかと自問自答したり。困難な出来事が起こったわけでもないのに、勝手にスランプに陥りました。ちょうど伊勢神宮に初参拝の予定があったので、心身共にリセットする良い機会に恵まれたのですが、リセットされすぎたのか今度は頭が真っ白に! 当たり前のことすらわからなくなりました。何故自分はこの仕事をしているのだろう、生きるって何だろう、創作って何だろう……問いは尽きません。気は焦りますが、ここで安易に答えを出したらまたすぐにスランプに陥るだろうと思い、辞書を引き直すようにひとつひとつの意味を問い直す時間が続きました。
心理学によると、人が決断する理由には好き嫌いと論理的納得の二種類があるそうです。面白いのは、論理的に納得をしてから最終的に好き嫌いで判断しようとしても決断しにくく、直感的な好き嫌いから入って論理的に納得したものは決断をしやすいのだそうです。良かれと思って最初から丁寧に説明することが逆効果になるとは、驚きです。この事実を知ってからは考えすぎるのをやめて、直感的に惹かれた美術展を見に行ったり、本を読んだり、友人に会いに行くという行動をとりました。
直感を色で表すとインディゴ(紺色)です。インディゴは感性のほかに洞察力や精神性という意味もあります。心惹かれるものに対して素直に行動していくと、潜在意識が呼び起こされるように意識が広がっていきます。そして、何故惹かれるのかという理由を探すのは論理的なイエローです。イエローは好奇心や探索の色。直感を掘り下げていくうちに、求めるヒントがあちこちに散らばっているのが見えてきます。それらのヒントを解いていくと、いつしか目指す道が見えてくるのです。この二つの重要な色は、互いが正反対で補い合う補色です。直感と論理を活用して、私もようやくスランプを脱出できました。振り返ると、悩むというのも心豊かな善き時間でした。前に進むだけが進化ではない、という言葉が身に沁みます。
ここでいつものワンポイントアドバイス。インディゴは鎮静の色でもあります。直感を使うつもりが動きたくなくなった…なんてことにならないよう、使いすぎにはご注意あれ!