小池安雲の色の魅力
第106章
肌寒い朝を迎えるようになりました。振り返れば、長雨からの猛暑、そして一転して秋模様と、季節の切り替わりがハッキリしていますね。余韻なく変わる季節の背中を追いかけるのに精いっぱいで、夏の気分を引きずったまま本格的な秋を迎えています。ふと「このまま何となく時間が過ぎていってしまうのでは」という焦燥感にかられました。変化はとても好きなのですが、知らぬうちに流されるよりも、落ち着いてその時間を味わいたいなと思ったのです。思えば、お正月以来、休みをあまりとっていませんでした。フリーランスで決まった休日がないからか、ついダラダラと仕事をしてしまう癖があるのです。10月は自身の誕生月でもあるので、誕生日を理由に三日間の休暇を取ることにしました。行き先は、山の中。温泉に入って、美味しいものを食べて、ひたすらのんびりする計画です。
ゆっくり時間をかけて休むという色は、グリーンです。まさに、山の中でのんびりするイメージですね。滞在先はWi-fiがあって通信環境も整っていたのですが、緊急のメールだけに対応をして、あとはスマホを手放しました。森で散歩をし、地元の美味しい食材を堪能し、部屋でボーっとしたりしているうちに、自分が積極的に無を求めていることに気づきました。無になってリセットできれば、新しい何かが生まれるかもしれない、という期待があったのです。(ギラギラと未来に期待している時点で、まったく無ではないですね)
期待をする色はイエローです。こうなりたい、もっと良くなりたいという成長欲の色。そこに休息のグリーンが加わると、フレッシュグリーン(黄緑色)になります。フレッシュグリーンは、若葉の象徴。新陳代謝を促し、成長を促進してくれる色です。森の葉を眺めながら「私はもっと成長するために変わりたくて、その気力を養いにここへ来たのだ」と気づきました。無にはなれませんでしたが、立ち止まったことで自分の本心を知る良いきっかけになったように思います。温泉で体の代謝も良くなったはずなので、心機一転また頑張れそうです。季節の変わり目、みなさんもぜひ休息を取りつつ、フレッシュグリーンの力を借りて英気を養ってくださいね。
ここでいつものワンポイントアドバイス。フレッシュグリーンは若さや元気をもたらしてくれる色ですが、若さが強調されるため貫禄やキャリアを示したいときには不向きです。使うタイミングにはご注意あれ!
2020年10月17日付・第2523号紙面より