小池安雲の色の魅力
第105章
9月になりました。いよいよ秋の到来ですね。季節も、そして人の気分も心機一転できるタイミングかもしれません。私はカラーセラピーや数秘術でコンサルテーションをしているのですが、新たな挑戦をする方がたくさんいらっしゃいます。この数年の傾向を見てみると、「自分らしく生きたい」とおっしゃる方が増えました。書店へ行けば「わたしらしく」「無理しないで」「好きなことをして生きる」というような言葉に溢れています。自分らしくという言葉が一般化するくらい、社会的に自然なこととして受け入れられてきたのではないでしょうか。
しかし、「自分らしく生きて」というメッセージが溢れているということは、まだ実現していない人が多いのではという印象も受けます。たとえば「毎日ご飯を食べて幸せになる」という本はあまりありません。日常のことは話題にはなりにくいからです。そもそも、自分らしさとはいったいなんでしょうか。
辞書では“自分”とはその人自身のこと、“らしい”はそのもの本来の特徴をよく備えていること、とあります。多くの人が惑い、探しているのは、“本来の”という部分でしょう。本来という言葉は、もともとの性質や役割などが発現されない場合になじむ言葉だそうです。ではなぜ、自分の特徴は発見しにくいのでしょうか。みなさん、就職試験などを筆頭にこれまでたくさんの適性や性格診断を受けてきているはず。それでも自分らしさを探してしまうのは「納得感」に秘密があります。納得できていないから、探すのです。
納得感の色は、オレンジです。オレンジは、情熱と行動と体感のレッド、個性と明晰と差別化のイエローから構成されています。自分の意志を持って行動し、他者と異なる点を明確にして個性を見出していくと、結果的にオレンジの納得に至るのです。自分探しは、実は個人では完結しません。他者と関わることで、自己を発見できるのです。
もう一つ、オレンジの重要なキーワードに、共感と楽しさがあります。自分らしさを発見しても、それが誰からの共感も得られなかったり、楽しくなかったら、いくら個性的であっても受け入れるのは難しいでしょう。自分らしさに納得できるか否かは、他者との関わりが成立するか、楽しいかどうかが鍵と言えます。
ここでいつものワンポイントアドバイス。オレンジは楽しさと納得感を生み出す色ですが、お腹を空かせる色でもあります。ダイエット中の方は、使いすぎにご注意あれ!
2020年9月17日付・第2520号紙面より