小池安雲の色の魅力
第100章
新型コロナウイルスの影響も長期化し、私もテレワークに切り替え可能な仕事はオンライン会議等で行うようになりました。現在は、極力人に会わないようにしながらデスクワークや制作に励んでいます。テレワークも便利で快適ではありますが、人に会うことで得られる喜びがたくさんあるので、みんなと笑顔で再会できる日を待つのみです。
こういう未曾有の危機になると「これからどうなるのだろう」という不安な気持ちと「今だからこそできることをやっていこう」という前向きな気持ちが交互に訪れます。周囲の人と話していても、できるだけ慎重になるべきという考え方と、きちんと危険を避けたうえで行動すれば大丈夫という考え方の、二つがあるように思います。いずれの考え方も正しい面があるので、行動するときの判断に悩みますね。
これらの性質を色の視点で見てみると、イエローとインディゴ(紺色)の組合せになります。見た目のイメージ通り、イエローは外交的で楽観的、インディゴは内向的で慎重派の色です。この二色は補色と言って、色彩心理上は真逆の組み合わせです。
外向と内向という意味からは少し外れるのですが、『残酷すぎる成功法則~9割まちがえる「その常識を科学する」』(エリック・バーカー著)という、世の中の成功法則を科学を元に検証した本のなかで、楽観主義と悲観主義についての面白い言及がありました。楽観主義は健康状態を良くし、寿命を延ばし、取引がまとまり、幸運に恵まれやすくなるというのです。そんなに良いことになるのなら今すぐ楽観主義になりたいと思うほど魅力的な事実ですね。かたや悲観主義は、悪いことはこれからも続く、人が信じられない、悪いことは自分の落ち度だ…と思ってしまい、困難を乗り越えられないとのこと。では悲観主義が全面的に悪いのかと言うと実は良い面もあって、慎重なために失敗はしづらいそうです。これはまさに色の意味と同じで、イエローは前向きで陽気で成長に適しており、インディゴは保守的で慎重で完璧に近い性質。真逆なので、お互いに補い合っているのです。
私たちも、楽観的で前向きでありつつも、時には慎重さを持ちながら、良いバランスで困難な局面を乗り越えていきたいですね。
ここでいつものワンポイントアドバイス。ポジティブになろうとしてイエローばかり用いると、そのまぶしい前向きさに気疲れしてしまいます。何事も、使いすぎにはご注意あれ!
2020年4月17日付・第2505号紙面より